検索窓
今日:2 hit、昨日:3 hit、合計:17,504 hit

●4話● ページ5

背は変わらずあまり伸びないまま、1番上の陳列棚に本を入れようと手を伸ばす。
入るには入るけど、綺麗に並べない…
かと言って踏み台使うのも…と、ため息をつく。

すると、カノ君とAちゃんの声と隣に用意された踏み台。


あ〜、かっこ悪いとこ見られちゃったなと情けなくて凹む。
お礼を言って踏み台を登る。
情けないな…女の子にこんな、
はい、と渡された新書を受け取り棚へ並べる。

スムーズに陳列も終わり、踏み台を片付けようとしたAちゃんに待ったをかけた。


「僕みたいな背のちっさいお客さんもいるかもしれないしさ、ここに置いておこうよ。」

と、自虐気味に提案する。
するとAちゃんは、眉間に顔を寄せた。
なんでそんな無理して笑うの?と、不満そうに言われた。

『それに、カノ君私より背高いんだしちっさいとか言われても…まぁお客さんにとってはありがたいかも。私チビなのに気が付かなかったな、そこんとこ。』

と続け様に言われ、背が小さいことで悩んでいる僕をまるで気にもとめない様子で、からかったりもしないでAちゃんは踏み台を片付けるのをやめた。

背のことで気にしすぎたなと僕も反省した。
と、同時にそんな僕を馬鹿にしないで僕の思いつきの意見を採用してしまう彼女に助けられたなと笑った。



カランカラ〜ンと、店の出入口に付けた鈴が鳴る。
珍しくこんな早くにお客さんかと僕とAちゃんはレジに向かう。


『いらっしゃいませ。』


「いらっしゃいませ〜って、キドじゃん!やっほ〜!」


珍しいな、バイト先に来るなんてとクールに現れたキドに話しかける。


「悪いな仕事中に…今日仕事終わりアジトに寄れないか?」



「別にいいけど、なんでぇ?」



「キサラギがな、ツアー終わったからアジトに来るってさ。ついでに集まれる奴は集まろうって話になってな。LINE送ったんだが、カノは仕事中だったの忘れてて直接伝えに来たんだ。」


能力を失った今でも人を惹き付け続け、アイドルを続けているキサラギちゃん。
そっか、会うのは半年ぶりかもしれないな。そりゃ皆集まるか。


「オッケ〜、んじゃ仕事終わりそっち行くね。」


「悪いな、」

じゃあ後でと僕に告げ、Aちゃんに仕事中にすまんなと一礼し、去っていった。

〇5話〇→←〇3話〇



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (57 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
28人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:めみ | 作成日時:2015年3月1日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。