●4話● ページ5
背は変わらずあまり伸びないまま、1番上の陳列棚に本を入れようと手を伸ばす。
入るには入るけど、綺麗に並べない…
かと言って踏み台使うのも…と、ため息をつく。
すると、カノ君とAちゃんの声と隣に用意された踏み台。
あ〜、かっこ悪いとこ見られちゃったなと情けなくて凹む。
お礼を言って踏み台を登る。
情けないな…女の子にこんな、
はい、と渡された新書を受け取り棚へ並べる。
スムーズに陳列も終わり、踏み台を片付けようとしたAちゃんに待ったをかけた。
「僕みたいな背のちっさいお客さんもいるかもしれないしさ、ここに置いておこうよ。」
と、自虐気味に提案する。
するとAちゃんは、眉間に顔を寄せた。
なんでそんな無理して笑うの?と、不満そうに言われた。
『それに、カノ君私より背高いんだしちっさいとか言われても…まぁお客さんにとってはありがたいかも。私チビなのに気が付かなかったな、そこんとこ。』
と続け様に言われ、背が小さいことで悩んでいる僕をまるで気にもとめない様子で、からかったりもしないでAちゃんは踏み台を片付けるのをやめた。
背のことで気にしすぎたなと僕も反省した。
と、同時にそんな僕を馬鹿にしないで僕の思いつきの意見を採用してしまう彼女に助けられたなと笑った。
カランカラ〜ンと、店の出入口に付けた鈴が鳴る。
珍しくこんな早くにお客さんかと僕とAちゃんはレジに向かう。
『いらっしゃいませ。』
「いらっしゃいませ〜って、キドじゃん!やっほ〜!」
珍しいな、バイト先に来るなんてとクールに現れたキドに話しかける。
「悪いな仕事中に…今日仕事終わりアジトに寄れないか?」
「別にいいけど、なんでぇ?」
「キサラギがな、ツアー終わったからアジトに来るってさ。ついでに集まれる奴は集まろうって話になってな。LINE送ったんだが、カノは仕事中だったの忘れてて直接伝えに来たんだ。」
能力を失った今でも人を惹き付け続け、アイドルを続けているキサラギちゃん。
そっか、会うのは半年ぶりかもしれないな。そりゃ皆集まるか。
「オッケ〜、んじゃ仕事終わりそっち行くね。」
「悪いな、」
じゃあ後でと僕に告げ、Aちゃんに仕事中にすまんなと一礼し、去っていった。
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作者名:めみ | 作成日時:2015年3月1日 16時