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●17話● ページ18

「この女も俺の足蹴ったんだぞ!?店員のクセに!!」

と、また男が懲りずに言い訳。


「Aちゃんが訳もなく人を蹴るわけないじゃん。あんたじゃあるまいし、どうせお前が何かやったんだろ、言えよ。」


と、男を強く睨みつけて聞く。
男ははっと笑ったあと、信じられないことを口にした。

「この女、よく見たら可愛いし、まぁちょっと遊んでやろうかなってッ!?」

ドゴォ!と、鈍い音。
気付いたら拳が出ていた。
セトがさっき言った事が浮かぶが、これは仕方ない。

後ろに倒れ込んだ男はセトに取り押さえられる。

どうしても怒りが押えきれず、再び殴りかかろうと拳を振り上げた。

「カノ君ダメ!!!」


けど、Aちゃんの声によって止まる。


振り返ると、涙でぐちゃぐちゃのAちゃんが僕の目を見ていた。
その強い眼差しに、力が抜けていく。


「…もう、いいから…そんなことしたらその人と同じになっちゃうよ、……私、そんなカノ君見たくないよ…」



「Aちゃん…」









結局、男に制裁を与えるなんて出来ずにそのまま帰してしまった。
でも、今度店に来たり、Aちゃんに危害を加えようとすると警察に突き出すと免許証と一緒に写真を撮ることによって、もう二度はないだろうと思う。
その僕の案に乗ってキドが脅して、セトが男を抑えてくれたおかげでスムーズにいった。

「じゃあ俺達はアジトに戻るから、お前はAを送れってやれよ。」


「もう暗いし、二人とも気をつけるっすよ。
Aさん、怪我がなくて良かったっす。」


「ありがとう、ございます。」


「元々俺がカノに無理言ったせいだ。すまなかった。嫌な思いさせたな…」

と、キドが頭を下げる。


「何故キドさんが謝るんですか?誰も悪くないじゃないですか。あの男が悪いだけで…逆に今日カノ君がバイトを抜けないでこのまま大事な仲間の方々との集まりに参加出来ない方が、私は嫌でした。」


「そしてこうしてカノ君、キドさんとセトさんに助けて頂いて、カノ君の大事な仲間ってやっぱりカノ君みたいに優しくて強い人たちなんだなって…」


「それが知れて、なんだか心が暖かくなりました。」

そう花が咲くように笑った彼女を見て、僕は泣きそうになった。

キドとセトも、顔が綻んで緩い笑顔が出てる。
ほんと、Aちゃんは凄いや。

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作者名:めみ | 作成日時:2015年3月1日 16時

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