〇12話〇 ページ13
「だ〜か〜ら〜!」
何度言ったらわかるんだよ!と、レジ台をバンッと叩いて憤怒しているお客さんを前にため息を心の中でつく。
(めんどくさい客に捕まったな…よりによってカノ君がいない時に、)
と、何故かカノ君が浮かぶ。
でも彼は今日、大切な仲間と会うんだ。無下に呼び出すのもダメだ。
「お姉さんさぁ、なんで今日入荷するこの漫画も売ってないの!?ほかの本屋はね、元々入荷してないとかじゃなくて売り切れだよ売 り 切 れ!そもそもさぁ、ここ漫画が少なすぎんだよなぁ、」
と、小声でまたブツブツと文句。
入荷してないのは仕方ないのに…というかこの本屋、古書や小説とかを中心に置いてるから漫画とかも超有名っていう作品しか売ってないし…
どうしてくれるんだとかれこれ30分怒鳴り散らしている。
逆にその体力を見習いたい…
「責任者が只今不在でして…お呼び致しますので暫くお待ちください。」
早くしろよとキレるお客さんを尻目に裏へ行く。
店長に電話をかけるも全くもって出ない。
5分程連続でかけるが不在らしい。
遅せぇよというお客さんの声が響く。
カノ君に電話する訳にも行かないし、もう一人のアルバイト樋口さんは連絡先知らないし…
どうしたものか…
とりあえずレジに戻る。
おせぇんだよとさっきより顔を真っ赤にさせ怒った様子のお客さんに頭を下げる。
「申し訳ごさいません、責任者と連絡がつかない状況でして…この店舗にはそちらの漫画自体入荷はしておりませんので…」
はぁ?っと私の発言に被せる形で大声で浴びせられ、体が震える。
「ナメてんの?こっちはもう5店舗回ってんだわ、ほかの店行けってか?」
わかってるならそうして欲しいが、どうしても納得いかないのか、どうしてくれるんだと責め立てられ、返事をする隙も与えてくれない。
「まぁ、そんな怯えんなよ。」
と、急に冷静になったかと思えば、手をぐいっと掴まれた。
「可愛い顔してんじゃん、落とし前、どうつけてくれんの?」
ニヒルに笑う男に体の震えは増すばかりだ。
もう、本格的にやばいかもしれない、
28人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:めみ | 作成日時:2015年3月1日 16時