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〇1話〇 ページ2

同じバイト先であるカノ君は時々、どこか遠い目をすることがある。

「お!Aちゃん、おはよ。今日もシフト被っちゃったね。」

ひょっとしてわざと僕に合わせてるとか?とニヤニヤして朝の掃除を適当にこなしているカノ君。


『それ、カノ君にも言えることだけど、私に合わせてるとか?シフト。』


「あ、反抗した〜、可愛いんだからもう。合わせてるって言ったら?」


『てか普通にバイト私とカノ君と樋口さんしか居ないんだし、必然的に被るでしょ。』


辛辣だな〜と腹を抱えて笑うカノ君をスルーしてトイレ掃除に向かう。
いつも綺麗なのでスムーズに終わる。

床を拭いていたモップを片付けようと裏へ向かった。
従業員専用という名の休憩室で店長がだるそうに肘を着いてパソコンをいじっていた。


『店長、掃除終わりました。今日って私とカノ君だけですか?』

「そだねぇ、まぁ二人慣れてるからいいかなって。まぁ今日はお客さん少なそうだし、回せるんじゃない。」

お前が適当でどうすると言いたいところだが、店長であるため強くは言えない。

『まぁ、普段からお客さん少ないですけどね。』

「言うねAさん、まぁこの店が繁盛しないのも近くにTSUTAKAが出来ちゃったからね。」

仕方ないよと歳の割には早いと感じる老眼鏡をクイッと上げる。


『私はこの本屋、古本結構あるし好きですけど。』


「マニアにはウケるよね。」


『店長マニアって言葉知ってたんですね。』


「そんな若者言葉じゃないでしょ。」


と、渋い顔をする。流石にいじり過ぎたかと、物知りですねと咄嗟にフォローを入れた。


ガチャリ


「店長ー!掃除終わりました!」


「あ、お疲れ様カノ君。今日は君とAさんだけだから、後はよろしくね。」


と、早速帰る支度を始める店長。
そんな早く帰るなら最初から来なくていいのにと思ったが、どうやら新書の受け取りがあったそうだ。
そんなの、私が済ませるのにと思ったがが自分自身が楽しみにしてた本があったと言う。


「お客さんあまりに来なかったら早めに閉めていいからね。」


「流石にそれはダメでしょ店長」


「冗談冗談、じゃ、後は頼みますね。」


『お疲れ様です。』

「お疲れ様でーす!」


店長が帰ったあと、少しの沈黙。

「さ、気長にお客さん待ちながらお話でもしよっか。」

『新書の陳列終わってないから。』

と、ニコニコのカノ君を通り過ぎて新書が入っているダンボールを持った。

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作者名:めみ | 作成日時:2015年3月1日 16時

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