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『太宰様、森様から執務室へと』
音もなく、気配もなく、太宰の執務室に現れたエミリー。
「んーりょーかいっ」
呼ばれた太宰は椅子に座ったまま一回転し、勢いをつけて「よっ」と立ち上がった。
エミリーがそっと執務室の扉を開き外へ出るように促す。
太宰は椅子にかけてあった外套を羽織り、そのまま廊下へ出て、歩き出した。
エミリーもその後をついていく。
最上階へ向かう昇降機の中、太宰が盛大にため息をついた。
『どうかなさいましたか。太宰様。』
「いやあね、森さんがなぜ私を呼んだのか、森さんの執務室に誰がいるのか判っているからね………憂鬱だよ」
『そうですか。』
数秒の沈黙。チンッと云う音が聞こえ、扉が開いた。
薄暗い廊下が目の前に広がり遮光眼鏡をかけた黒服達が銃を握り直した。
「退き給え。」
太宰はそう一言いい、奥へと向かっていく。
名前も要件も言わずに通ろうとする太宰に黒服が銃を向けた。
『お待ち下さい、私はエミリー・ブロンテ首領直轄の補佐です。そちらの方は太宰治様、首領のご指示に従い参上しました。』
エミリーが淡々と喋り終わると、黒服が銃を降ろし、道を開けた。
その様子を横目に見ていた太宰が、隣に来たエミリーに訊ねた。
「ねえ、今更なのだけれど。エミリーさんは態々徒歩で来なくても、異能でくればよかったじゃない。」
『太宰様一人で執務室に行くとなると、いささか困難です。貴方はまだ組織に入って間もないですから。』
「大丈夫だよ、殺気飛ばして一睨みしたら、蛇に睨まれた蛙だよ。」
『それが駄目なのです。』
そんな事を話しながら暗い廊下を歩いていると、執務室へ入るフレンチ・ドアが目に入った。
組織の最高権力者たる首領の執務室へ入るには、ノックをし、名前を告げなければならないのだが、
太宰がフレンチ・ドアに手をかけ、執務室内を覗き込む。
「どーも、お邪魔します………おや」
そう呟いて中に入る太宰。
エミリーも太宰の後に続き中に入り、フレンチ・ドアを閉めた。
「やあ太宰君、エミリーちゃん、待っていたよ」
『遅れてしまい申し訳御座いません。』
エミリーが首領に一礼をし、室内にいる一人の少年＿＿中原中也を見遣った。
「あ！手前らあん時の枯れ木小僧とメイド女！」
中也が飛び上がった。
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酸素無駄遣い装置 - みのりさん» 嬉しいです。有り難うございます。更新、なるべく毎日できるように努めます。 (2019年8月17日 10時) (
レス) id: 8cc010c4ca (このIDを非表示/違反報告)
みのり - 初コメ失礼します！酸素ちゃん、更新頑張ってね？応援してるよ！ (2019年8月17日 6時) (レス) id: 671f4436ea (このIDを非表示/違反報告)
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