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You side
いつもは身につけられないような、裾が長くて袖もたっぷりしている着物を身につけ、親友の挋華に化粧をしてもらい、髪の毛をゆって簪をさす。
こんなに着飾ったのは初めてだ。使用人の身じゃこんなもの着れるわけが無い。
挋華「うん!いい感じにできた!!A見てみて……」
と、言われ渡された手鏡を覗く。そこにはいつもとはちがう自分が映っていた。何も知らない人が見れば貴族の姫のような格好をした自分。
A「本当に大丈夫かしら……」
心配になり、自分の顔を触る。
挋華「自信を持って!大王様に見初められて後宮に入るんだから。きっと大丈夫!!わたしもついてるわ!」
挋華はうっとりしながら私を眺める。少し歩いただけで、転んでしまいそうだ。
すると、扉がコンコンとなった。
A「あっ…はい!!」
と、勢いよく返事をしてしまった。扉が開いて入ってきたのは……
瑠衣「凄いA!!とっても綺麗だわ!!」
私が使えてる…いいや、仕えさせて頂いていた王弟・成蟜様の奥方の瑠衣様だ。
私と挋華は咄嗟に跪く。
A「私には勿体ない物にございます。」
すると、瑠衣様が私と挋華の腕をつかんで立たせて下さった。
瑠衣「そんなことないわ。きっとお義兄様も驚くわ!!元々の美しさに花を添えているもの…。」
A「瑠衣様には本当に感謝しております。感謝と言う言葉では表せない程に。本当に今までありがとうございました。この御恩は一生忘れませんわ!」
私と挋華はもう一度頭を下げた。
瑠衣「後宮はとても大変な所よ。気をつけて……。また会える日を楽しみにしているわ!!」
私たちは部屋を出てまたお辞儀をする。
A・挋華「本当にありがとうございました。」
と言うと瑠衣様も頷いて下さった。
私たちは外で待っていた馬車に乗り込んだ。
挋華「緊張してる?」
挋華の柔らかい手が私の手を包んでくれた。
A「うん。怖いわ……。私のような使用人が言ってもいいところなのかって…。」
すると、挋華の美しい瞳が私の目を真っ直ぐと見据えて、
挋華「大丈夫!!何があっても私はAの味方だから!一緒に乗り越えましょう!!」
と、言ってくれた。
A「うん!挋華がいるもの!きっと大丈夫よね……」
少しだけ気持ちが楽になった。大切な親友を持って私は幸せものだ。
その間にも馬車はゴトゴトと音を鳴らして走る。
ついに見えてきた。
後宮の門が……。私はこれからどうなるのだろうか。
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華(プロフ) - 今まで見た中でダントツ1番です。また更新していただけたら嬉しいです。待っています! (2021年7月20日 0時) (レス) id: f6aca41875 (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑 - とても面白いです!!続きが気になります。政様カッコいいです!更新頑張ってください (2020年3月19日 14時) (レス) id: 1f2db930a1 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - すごく面白そうですね!更新が楽しみでしかたありません!これからも頑張ってください。応援しています (2019年11月6日 9時) (レス) id: 36a4111e18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠花 | 作成日時:2019年11月3日 22時