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「俺は松川一静、市川さんの教育担当、で、多分及川のせいで混乱してると思うけど国見は俺等の後輩なんだ。及川は中高と国見の先輩、俺は高校。国見がこんな態度取るのは及川だけだからそんな困った顔しなくても大丈夫だよ」
ポンと頭に手を置く松川さん。
子供扱いされているのだろうか。ちょっと、新人に変なこと言わないでよ、と及川さんがぷりぷり怒っているが松川さんは本当のことじゃんと鼻で笑う。
国見さんの「俺らはどうすればいいんですか?」と松川さんに問いかけたことによりやっと席に案内された。及川さんが「国見ちゃんの指導係は俺なのに」と嘆いていたことは聞かなかったことにする。
このフロアは営業部と広報部に分かれているそうで手前は広報、奥が私達が入る営業部だそうだ。
席はそれぞれ指導者の隣のデスクで、私は主に事務職を当分やっていくことになるらしい。
勿論外回りもやるが松川さんの前任の事務さんが先月めでたいことに寿退社されたそうで私は将来的に松川さんのサポート、つまり事務職を主にしてほしいとのこと。
「今は特に難しい案件とか、急ぎのものとかないからゆっくり覚えていってね」
「はい、頑張ります」
「とりあえず、午前中はこれ、一緒にやっていこう」
そういわれて渡されたのはアンケート結果と書かれた資料。
「俺がこの前行ったアンケートの結果なんだけどこれを表にしてまとめてほしいんだ。もし分からないことがあれば何でも聞いて。見本はここに置いておくね。席を立つことはあるけれど市川さんを置いて社外に出たりすることはないから」
緊張している私を気遣ってか、ゆっくり話してくれることに気づいたのは大分後のことだ。
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作者名:お湯 | 作成日時:2019年5月9日 19時