Prolog ページ1
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「男子バレー部のマネージャーになってくれ!」
1年から同じクラスでまあまあ仲が良い、
山本猛虎は私に向かってそう言った。
『...今なんて?』
「はあ?聞こえなかったのかよ...だーかーら...」
貴方のバカでかい声が聞こえないわけないでしょ。
あほなの?いや、あほだったわ。
そしてこんな私の内心を一切知らない猛虎は
先程と同じ言葉を大きな声で繰り返した。
『うーん。言いたい事は分かった。でも何で私が』
男子バレー部のマネージャー?
無理無理無理。人のお世話なんて絶対に無理。
自分のお世話で精一杯なのに、
なんで人のお世話までしなくちゃならないの?
なにも見返りなんて来ないのに。
「お前に力になって欲しいんだ」
『...力?』
「そうそう!頼むよ高坂〜!」
『ちょっと...!』
教室中に響くような大きな声で猛虎がそう言うから、
皆がこちらを見てきて仕方がない。
なのにこのあほちんは、人の話を聞かず、
ずっと「頼む」を連呼しながら頭を下げている。
このままでは埒が明かない。
こちらが折れてやるしかない。
『わかった。少し考えてみる』
「本当か!?」
猛虎は下げていた頭を上げ、
キラキラさせた目で私を見てくる。
代わりに次は「ありがとう」を連呼だ。
「んじゃ早速今日の放課後、
練習試合あるから体育館、見に来いよ!」
『え...ちょっと待って、聞いてない!』
「よろしくー!」と言いながらどこかへ行ってしまった猛虎を追いかける事は不可能。
私はあいつの思うつぼにしっかり入ってしまったのだ。
そしてこの日から、
私の高校生活はガラッと一変することになる。
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作者名:メイ | 作成日時:2021年8月22日 2時