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わざと大きめに声を出す。
声をかけた瞬間、康二くんの顔がすぐに離れた。
何も気づいてない先輩がこちらを向く。
目が少し赤かった。
「…あ、」
『よかった〜見つけられて！はい、翔太先輩』
私の半歩後ろにいる翔太先輩にアイコンタクトで促す。
翔太先輩は小さく頷いて、先輩の方に近づいた。
「…話、あるんだけど」
「……うん」
「今いい？」
少し考えてゆっくり頷いたら先輩に、翔太先輩がホッとした顔をした。
「ありがとAちゃん。康二も」
「…おん、」
そう言って2人は別の場所に移動した。
後ろ姿を見守ってから、空席になった康二くんの隣に座る。
「……見てた？」
『私はね。翔太先輩は気づいてなかった』
「…あぶな、」
ハァァ、と大きく息を吐いて手で顔を覆う。
「…何やってんやろ」と小さく呟いた。
「…先輩、このままやったらどうしようって泣いて、」
『うん』
「……何か、抑えられへんかった、」
だんだんと涙声に変わる。
俯いたまま、長く息を吐いた。
…こうやって苦しむ姿を見るのは、これで何回目だろう。
彼が涙を堪えようとするのは、これで何回目だろう。
そんな苦しい思いをするなら。
好きの気持ちを持ったまま、2人といるのがつらいなら。
『……なら、私でいいじゃん、』
「え？」
私にしてよ。
振り向いてくれない先輩じゃなくて、
隣にいる私を見てよ。
『……好きだよ、』
「……え？」
『…私、康二くんが好きだよ』
思わず、ポロリと出てしまった言葉。
沈黙が生まれて、
そこで自分のしてしまった失態に気づいた。
『…あ、』
全身の血の気が引いて、口の中がどんどん乾いていく。
…言うつもりなかったのに、
ずっと隠しとくつもりだったのに、
私、今。
「……え、ちょ、え、」
『、ごめん、違、』
目を大きく見開く康二くん。
慌てて否定しようとして、違うって言おうとして、
…だけど飲み込んだ。
『……ごめん、』
「…」
『違、くない、』
「…え、ほんまに？」
嘘、と呟く康二くんに
『…本当、』
って下を向いたまま答える。
「え、でもだって、」
『…』
「…あ、」
「あれって、」って康二くん。
前に答えた『私もずるい』という言葉の意味を理解したらしい。
恐る恐る顔を上げると、両手で口元を覆いながら私を見ていた。
目が合って、すぐ逸らされる。
瞬きが多い。
…あぁ、ほら
困らせた。
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きき - 読んでる途中で何回も泣きました。何回も読み返しにきます。素敵な小説をありがとうございました。 (2022年12月20日 1時) (
レス) @page45 id: 2e4c7a3530 (このIDを非表示/違反報告)
小袖(プロフ) - 涙が止まらなくなりました…良すぎてよすぎて胸が痛くて最高すぎます… (2022年12月11日 0時) (レス) @page45 id: 086580d8cf (このIDを非表示/違反報告)
りえまりこ(プロフ) - 何度も読み返したくなる作品で、何度読み返しても心が動かされます。素敵な作品をありがとうございます。 (2022年12月9日 6時) (レス) @page45 id: 1f2c4c1078 (このIDを非表示/違反報告)
みんみん - めっちゃいいお話でした！！途中感動で泣いちゃいましたよ。思いが通じたところも最高でしたし、その後のしょっぴー先輩のお話もすっごく共感しました！登場人物みんなちょっとだけズルくて、でも正直で可愛いのがホント素敵でした。 (2022年4月25日 15時) (レス) @page45 id: d946c1f5c6 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - 今まで見た小説で一番好きです！最高すぎますし、天才です！気づいたら泣いちゃってました、、笑 めいさんの他の小説も読ませて頂きます！こんな素敵なお話読ませて頂いてありがとうございます！！ (2022年4月18日 3時) (レス) @page45 id: 8dc1188793 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めい
| 作成日時：2021年11月12日 23時
