カメラロール【橙】

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『じゃあバレてるついでに聞いてもいいですか？』
「うわ、何(笑)」
『…仲直りは可能なレベルの喧嘩ですか、ね？』
「すっごい直球じゃん」


またゲラゲラ笑われる。

ひとしきり笑ってから、「うーん」ってポツポツと先輩が喋り出した。


「どうだろ。なんかタイミング合わなくて」
『あら、』
「…なんかさ、最近あいつめっちゃバイト入れててさ」


聞くと、先輩が今までにないくらいシフトを入れてて、
課題とかも色々重なって大変そうだった、と。


「デートの時も何か疲れてそうでさ。
だから自分のキャパ考えてやれよって言っちゃって」
『心配で』
「そう。でもまぁ俺も言い方ダメだったけど。
それではぁ？みたいな」


それから話すタイミング伺ってたら、こんなに長い喧嘩になってしまったらしい。


「康二も慌ててるでしょ」
『当事者かのように慌ててますね』
「ですよね、(笑)」


ハァーとため息をついて俯く翔太先輩。
するとその時、LINEが届いた。

通知を見ると、
［今ベンチのとこで先輩と話してる］
って康二くんから。



え？今？
授業サボったの？って思いつつ、気になってトークを開く。


そのまま連続でメッセージ。



［先輩しょっぴーの誕生日のためにめっちゃバイト入れてて、それで疲れてちょっと当たっちゃったんやって］

［仲直りしたいけど、タイミング伺いすぎたって］


なるほど。
やっと全部繋がった。


［そこで待ってて］って返信して、まだ俯いてる翔太先輩に声をかける。



『翔太先輩』
「…何？」
『もう話しに行きましょ。今』
「え？」
『今』


どうせ相思相愛なんだから、ずっとうじうじ悩んでる方がアホらしい。


『全然喧嘩じゃなくて、ただのすれ違いじゃないですか』
「…」
『心配だったってちゃんと話して、今あるちょっとのズレを埋めればすぐ解決しますよ』
「…でもさ、」


モゴモゴしてる翔太先輩。
何も迷うことないのに。

もういいや、言っちゃお。


『…これ先輩のトップシークレットなんで、本当は言っちゃいけないんですけど』
「え？」
『だけど私、今からポロッと言っちゃうかもしれないので聞かないでくださいね』


「は？」って不思議そうな顔をされる。
そんな眉間に皺寄せないでよ。


『先輩がすごいシフト入れてたのは、明日が大事な日だかららしいですよ』


そう言うと、「…あ、」って何か気づいたらしい。



『お互いがお互いを想った結果喧嘩って何なんですか』

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