私の "元" 王子様【黒】 (ページ30)

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HRが終わって、1人トボトボと昇降口に向かう。

赤点。
中学でも取ったことなかったのに。

でもあの日のコンディション考えたら納得の結果ではある。
自分でも何書いてるのかわからなかったもん。
仕方ないと思い込もうとするけど、やっぱりそれなりにショックだ。

補習かぁ、と憂鬱な気分で靴を履き替えてたら

「あ、見つけた」

って蓮が着いてきた。

『赤点仲間じゃん』
「やめろそれ」

靴を履きながらあのさぁって蓮。

「今日暇？」
『…暇、だけど、』
「どんまい会しない？」
『…ん？』

そう言って連れて来られたのは、

『いや、池』

私の家の近所にある少し大きな池。
私の近所だから必然的に蓮の近所でもある。

「はいこれ」

来る途中、コンビニで買ったバケツを持った蓮に、一緒に買った糸とさきいかを渡される。
…このラインナップは、もしかして。

『…ザリガニ釣り、？』
「え、よくわかったね」
『あー…あんた好きだったね…』

池のそばにしゃがみ込んで器用に糸とイカをくくりつける蓮。
私も隣に座ると、「え、何で知ってんの」って驚かれた。

『だって見たことあるし、』

そこまで言ってハッとする。
恐る恐る蓮の顔を見ると、

「見たことあるんだ(笑)」

予想通り、死ぬほどニヤニヤした顔。
やらかしたと頭を抱える。

『…違う、何となく見かけたことがあるだけ』
「へぇ〜」
『本当だから！おつかいとかの帰りに、』
「そうなんだぁ」
『ねえ！』

軽く肩を叩くと、ごめんごめんって笑いながら謝られる。
少しむくれながら、私も見よう見まねで糸にイカをくくりつけた。

それを池の水につけて、ザリガニがかかるのを待つ。

「残念だったね、テスト」
『やだね補習』
「でも勉強会楽しかった」

またやりたいって言われて、
ならよかったって嬉しくなる。