私の "元" 王子様【黒】 (ページ20)

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次の日の放課後から中間テスト対策会が開かれた。

蓮に部活は？って聞くと、顧問の先生に学力テストの結果を見せたら強制的に休まされたらしい。

推薦で入った生徒を休ませるほどあれはやばい結果だったんだろう。

まずは基礎からやっていこうって2人で決めて、
勉強会を始めた。

始めたはいいんだけれども。

『もう国語は漢字丸暗記すればどうにかなるから。
丸暗記さえしちゃえば20点は取れる』
「残りの10点は？」
『運だから今から徳積んどこう』

.

『数学はね、公式さえ覚えちゃえばあとは当てはめるだけなんだけど、』
「だけど？」
『蓮、かけ算できる？』
「は？それはなめてるさすがに」
『7×4は？』
「26」
『…7×9は？』
「…53？』
『これも徳積んどこう』

.

『英語も文法覚えちゃえば何とかなると思うんだけどさ』
「うん」
『蓮、そもそもの単語わかんないよね？』
「でも俺少しは勉強した」
『あ、本当？月曜日わかる？』
「え、何だっけ。イエスタデイ？」
『…日曜日は』
「リメンバー？だっけ？」
『これも徳かな』

早速問題発生。

私じゃもうどうにもできない。
徳を積めとしか言えない。

英語が1番得意だから英語から教え始めたけど、教えれば教えるほど蓮の首がくぃぃって曲がっていく。

わかりやすく「？」が浮かんでいる顔を見てこっちもパニック状態。

ここまで壊滅的だとは思わなかった。

半泣きになって教えていると、ガラッとドアが開いた。

「あれ、2人とも帰ってなかったの？」
「阿部ちゃん！」
『亮平くん助けて！わかんない！』

ドアからヒョコッと顔を出した亮平くんに2人揃って泣きつく。

突然のSOSに「ええ、どうしたの」って言いながら机に近づく亮平くん。

蓮に勉強教えようとしたけどもう私もわからない、
蓮はもっとわからないって伝えると

「そっかそっか。ちょっと見せて？」

って近くの椅子に座って開いていた教科書とノートを見た。
少しして、「ここはねー」ってスラスラと説明する。

段々蓮の眉間の皺も薄くなってきて、ちょっとしたら「ああ！」って答えを書き出した。

「そう、正解！」
「え、まじで！？」

やった！って喜ぶ蓮。すごいじゃん！って褒める亮平くん。
私はすごいねって拍手しながら、ちょっと恥ずかしくなった。