私の "元" 王子様【黒】 (ページ13)

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いや、反応薄。
自分から聞いてきたのに。

…あ、もしかして。

『蓮も亮平くんって呼びたいの？』

なにヤキモチ的なこと？
そういじったら、

「は？」
『あ、違いますね』

声のトーンを聞いて速攻謝った。
急にガチにならないでよ、ふざけたこっちが恥ずかしい。

黒板が空いてきたから余ってた借り物競走のところに名前を書く。

隣の二人三脚のところに名前を書いてた亮平くんに
「頑張ろうね」って言われて、笑顔で頷き返す。

席に戻ったら、まだ蓮は難しそうな顔をしていた。

どうしたんだろうって思ってポッケに入ってたチュッパチャップスあげたら、難しい顔のまま食べ出して、何か笑えた。

.

放課後、また先生に「これまた貼っといて」ってプリントを渡された。体育祭の種目の名簿。

受け取って貼ろうとしたら

「それ貼ればいいの？」

って蓮に取られた。

『え、いいよ私やるから』
「いや俺も係だし」
『部活は？』
「そんな急ぎじゃないから」

画鋲ちょーだいって手を差し出される。

今日は下のスペース空いてるから私も届くのに。
でもせっかく言ってくれてるしいっか。

『ありがと』
「ん」

私から画鋲を受け取って丁寧に貼っていく。
その姿をボーッと見つめた。

足長いな。
そりゃ1歩も大きいだろう。リレーに選ばれるわけだ。

そんなことを考えてたら突然蓮が口を開いた。

「俺さぁ」
『ん？』
「人に嫉妬するとか絶対ないって思ってたんだけど、そうでもないらしい」
『…ほぉ、』

謎の報告に曖昧な返事で答える。

『気づけてよかったね』
「ははっ。そう、だからさ」

画鋲をグッと押し込んで、私の方を向いた。
だいぶ高い位置にある蓮の顔を見上げる。

「体育祭、俺のこと応援してね」
『…あ、うん』

同じクラスだから、普通に応援するけれども。
どうした？って思ってたら、

「阿部ちゃんじゃなくて、俺応援してね」

と続けた。
……え、亮平くん？

『…1.5脚分だけを応援しろってこと？』

二人三脚なのに？勝てなくない？

そう聞くと、
「……あ、確かに」
って蓮。

ん？って2人で首を傾げる。
すると蓮が、

「まぁいいや。そういうこと」

って笑った。

「じゃないと俺妬いちゃうから」

ハッキリそう言われて、とりあえずわかったって頷く。
そんな私を見て満足気な顔の蓮。

…よくわからないけど、
本人が良さそうだから気にしないことにした。