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「Aちゃん、ふっかさんと付き合ったんやな！」
あれから1週間くらい経った頃、選択の美術の授業の時に康二くんが子犬みたいに私の元にやって来た。
ふっかは音楽選択だからいない。
『あー、うん、まぁ』
「え、彼氏のふっかさんってどんな感じなん？」
めっちゃ気になる！ってデッサンそっちのけで質問攻めされる。
その姿に苦笑いしながらふっかのことを思い出した。
付き合ってるフリを始めてから1週間。
毎日してたLINEは、おはようからおやすみまで逐一報告LINEが来るようになった。
約束してる訳じゃないけど毎日一緒にしていた登下校で、手を繋ぐようになった。
私と自分のことを、事あるごとに「彼女」「彼氏」と言うようになった。
ここまでする必要ある？って思うほどの徹底ぶり。
でも私も満更でもなかった。
だって、ずっと憧れてた場所に今いるから。
友達よりももっと近い、彼の隣。
だけど、この幸せは期限付き。
「今までいろんな報告俺にしてたのに、Aちゃんのせいで来ぉへんのよ！」
寂しい！って康二くん。
今は私に来ている報告LINE。
…でも、1ヶ月経ったら？
彼女じゃなくて友達に戻ったら、
私にはもうきっと来なくなる。
『…大丈夫、今だけだよ』
思わず口に出ていた。
ううん、出した。
自分で自分に言い聞かせるために。
今だけだって思い出させるために。
きょとん、と私を見つめる康二くん。
『フリなの。1ヶ月だけ、付き合ってるフリ』
「…へ？」
『だから1ヶ月経ったら、また康二くんに連絡戻ると思うよ』
内緒ねって笑った。
しばらく固まっていた康二くんは、だんだん目を大きく開いて
「…え、ええ！？え！？何、え、何！？」
と私の肩を掴んだ。
他の子達が一斉にこっちを見る。
慌てて2人ですみませんってお辞儀した。
『康二くん声でかいよ』
「えぇごめん！でもだって、え！？何フリって！？」
どういうこと！？ってついに鉛筆を置いた。
これ今日提出なのにいいのかな。
『なんか、賭けに負けるからってお願いされて』
「…何やそれ、」
困ったような顔で「えぇ…」って頭を抱えた康二くん。
眉毛をハの字にして、また私の方を向いた。
「ええの？Aちゃんはそれで」
『え、うん別に、』
「好きなんちゃうの？ふっかさんのこと」
『……え？』
遠慮がちに、でもハッキリとそう言われた。
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スノ姫 - 良かったです。素敵でした。感動して泣けて来そうでした。1ヶ月、彼女のフリが最終的には本当の恋人になるですから、それ位に両想いで好きだったって事ですよね。いいですね。こう言う恋。 (2021年11月14日 17時) (
レス) @page40 id: 61c754dd4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めい
| 作成日時：2021年11月12日 21時
