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「Aちゃん！」
休み時間にトイレ行った帰りに、隣のクラスから顔を出した康二くんに声をかけられた。
『康二くん。元気？』
「元気元気！Aちゃんは？」
『んーまあまあかな』
「ちょっと話さへん？」
廊下まで出てきてくれた康二くん。
次の授業まで時間もあったから、壁にもたれて2人でお喋りした。
康二くんのお母さんの話とか最近のカメラ事情とかを聞いて笑ってたら、
「…ふっかさんとは、どんな感じ？」
と切り出された。
あ、そっか。気にしてくれてたんだ。
康二くんは優しい。誰にでも優しい。
上目遣いでおずおずと聞いてくる康二くんを見て、心配させちゃいけないと笑顔を作る。
『楽しいよ。ふっか優しいし』
「…ほんま？」
笑いもせず、ただ見つめてくる康二くん。
全部見透かされてるような気がして、思わず口が溢れた。
『……だけど時々、悲しくなる』
1ヶ月が終わったらって考えると悲しくなる。
この幸せは設定だから成り立ってるって思うと苦しくなる。
『楽しいのに、』
「…」
『笑いたいのに…笑えなくなりそうな時がある』
それが、悲しい。
そこまで言って、ハッとした。
やばい、びっくりするくらい重い話になっちゃった。
ていうかこれ他人が聞いたら意味不明だよ。
とりあえずメンヘラだと思われちゃう。実際メンヘラだけど。
『ごめん！なんかすごい重くなっちゃった。
大丈夫、楽しいから…』
「ええと思う」
私の言葉に被せて話し出す康二くん。
『え？』
聞き返すと、私の頭に手をポンと乗せて
「自分の気持ちに嘘つくより、素直にいた方がええよ」
って笑った。
「ふっかさんに言えないこと、俺に全部吐き出してええから」
『でも、迷惑、』
「迷惑ちゃうもん。Aちゃんがつらい思いする方が嫌」
「だから、俺の前では素直でいてな」
『…ありがと、康二くん』
少しだけ、不安が軽くなった。
何か照れるなぁ！ってニコニコした康二くんが私の頭に手を置いたままポンポン叩く。
その瞬間、後ろから腕を引っ張られて、康二くんの手も離れた。
『わっ、』
よろけたけどトン、と何かにぶつかる。
振り向くと、何故かムッとしたようなふっかの顔。
『…え、何、どうしたの』
「… A、数学のノート見せて」
忘れたって言うふっかに首を傾げる。
…数学？
『今日数学あったっけ？』
「………ねーわ」
めっちゃ忘れたってふっか。
…何、
本格的にどうした。
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スノ姫 - 良かったです。素敵でした。感動して泣けて来そうでした。1ヶ月、彼女のフリが最終的には本当の恋人になるですから、それ位に両想いで好きだったって事ですよね。いいですね。こう言う恋。 (2021年11月14日 17時) (
レス) @page40 id: 61c754dd4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めい
| 作成日時：2021年11月12日 21時
