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外から階段を登る足音が聞こえたのは、
日付を少し超えた頃。
慌てて膝から顔を上げて
滲んだアイラインを爪で少し擦った。
扉の開く音に『おかえり』って精一杯明るく答える。
いつもならすぐ明るい返事が返ってくるのに、
今日は私の顔を見てから、少し気まずそうな顔で
「、ただいま」と返された。
『…どうしたの？』
「え？」
『すごい顔見てくるから』
「あー…そう？」
『手洗いなよ。もう飲む？それともお茶がいい？』
そう言って冷蔵庫に立つ。
さっき買ったペットボトルのお茶を取り出しながら、また滲んできた涙を見られないように拭いた。
康二くんの優しいところが好き。
無意識な底抜けの優しさが好き。
頑張って合わせてくれる優しさじゃない。
…だから彼は、嘘をつくのが上手じゃない。
『はい』
「ありがとう」
『ミカちゃん平気だった？』
コップを渡しながらそう言うと、あからさまに動揺した。
…ねえ。
もっと上手くやりなよ。
私なんていくらでも騙せるんだから。
あなたの嘘なら、いくらでも信じるよ。
「…泣いてた、かな」
『そっか。どこにいたの？』
「ミカちゃんちの方の公園」
『コンビニの横の？』
「そう」
『じゃあまだ人も通るしちょっと明るいからよかったね』
「そうやね」
『何かあったって？』
「…彼氏と別れたって」
『それで相談のってあげてたんだ。優しいね』
「そんなこと、」
『……2時間も？』
お茶を飲む手を止めて、康二くんを見る。
「え、」と少し固まった。
優しい彼が好きなのに。
こんな顔をさせたくないのに。
だけど私は2時間、この部屋で1人だった。
1人でずっとスマホの通知を待っていた。
『…康二くん』
「…」
『ミカちゃんと、何話してた？』
私が1人だった時間、2人は何してた？
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noa(プロフ) - 最後翔太くんを選ぶ展開最高です！感動しました！ (2022年10月24日 20時) (
レス) @page40 id: 17a3519150 (このIDを非表示/違反報告)
ぴか(プロフ) - めっちゃ泣きました‼すごいよかったです‼ (2022年10月24日 11時) (レス) @page40 id: 24a776f541 (このIDを非表示/違反報告)
1RNw1b57PQuD3Q9(プロフ) - 胸が苦しくなりながら何回も読み直しました。大好きなお話です。康二君側の視点のお話も読んでみたいです。また素敵な作品待ってます。 (2022年9月23日 22時) (レス) @page40 id: bdaaf2c045 (このIDを非表示/違反報告)
hs.(プロフ) - 期待を裏切る展開が面白く、切なくて、でもそれぞれが真っ直ぐに向き合ってる姿に心打たれました！とても素敵な作品でした。また次回も小説楽しみにしてます！ (2022年9月7日 11時) (レス) id: 37efc71d63 (このIDを非表示/違反報告)
rio66(プロフ) - めっちゃ面白かったです！😭翔太くんが一途で最高だったし、なにより話の展開が面白くて読むのが楽しかったです！😭♡涙腺崩壊してめっちゃ泣きましたァ😭😭 (2022年9月4日 23時) (レス) @page40 id: 1b1cdc44f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めい
| 作成日時：2022年8月6日 23時
