ハッピーエンド

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『よく電話するの？』
「ん？」
『彼氏と喧嘩したって』
「あーそうね。最近多いかもしらん」
『そっか。何かアドバイスするの？』
「んー普通に、何が嫌なん？とか。
ちゃんと話し合った方がええよとか」

そっか。そうなんだ。

『優しいね』
「え何急に(笑)…あ、ごめん嫌やった？」
『ううん。…優しいとこが好きだなあって思った』
「…ほんまに何、(笑)」

照れ臭そうに微笑んで私の頬に手を添える。

23時。
映画見てたから部屋も暗くしてて、
そういう空気を察して目を閉じる。

唇が触れるのを感じながら、頭では別のことを考えてた。


メールから電話になった。
23時に呼び出された。

「さすがに無理」と言った。
私がいるから。
時間が遅いから、さすがにって。


…じゃあ、もっと早い時間に1人でいたら？


その状況は「さすがに」に入る？


「A、」


ソファーに押し倒される。
見上げる私の頭を撫でて、愛おしそうな目をして優しく微笑んだ。

この人が好き。
優しくて私を大事にしてくれるこの人が。
誰にでも優しいこの人が。

またキスをする。


『…、康二くん』
「ん？」
『…何でもない』
「何なん(笑)」


優しいあなたが、私は大好きだよ。


際限なく積もっていく「好き」だけを見つめるように
視界に康二くんだけを映して、
他のことから目を背けるように瞼を閉じて、

彼になぞられた口を開けた。

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