ハッピーエンド

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翔太もういるかなって顔を上げると、電話しながら誰かを探す康二くんを見つけた。

深澤くん探しかな。
私と付き合ってた時も、よく深澤くんから「どこー？」って電話来てたから。


キョロキョロして学食を見渡す途中に私を見つけて、
一瞬固まる。

でもすぐに笑顔になって、大きく手を振ってきた。
私も笑って手を振り返す。



「おつかれ」



そう口パクして、はにかむ。
私もそれに頷いて応えた。

それから彼は多分電話口の深澤くんの言葉に何か返して、学食を出て行った。







…私たちは運命じゃなかったけど。

これが私にとって、
私たち2人にとってのハッピーエンド。



待ち合わせのコーヒーも
2人で部屋で見た映画も
蜂蜜色の瞳も



全部全部、私たちの次の幸せに繋がっている。








携帯が震えて通知を見たら、翔太から［着いた］ってメッセージ。

返信しようと文字を打ちはじめたら、



「A」



って後ろから声がした。






振り返らなくても誰かわかる。
今、私の1番好きな声。






『翔太』






誰がなんと言おうと、これが私のハッピーエンド。

彼の隣が、私の幸せ。




Fin.

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