ハッピーエンド

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次の違和感はやっぱりお泊まりしてた日の夜。

2人で映画見てたら今度は電話が鳴った。
2人同時にスマホが置いてあるテーブルに目をやる。康二くんはいつも画面を伏せない。だからミカちゃんの名前が私にも見えた。身体が固まる。何が起こったわけでもないのに。

康二くんも画面を見てあぁ、って顔して、
「ごめん一瞬出るな」って通話ボタンを押した。

私は頷いて何でもないみたいにテレビに視線を戻す。
テレビを見てるフリをして、本当はテレビ台を見てた。
女優さんのセリフなんて聞こえない。
「もしもし？」って康二くんの声だけが耳に届く。

「ごめん今Aとおるから」

開口一番に私の名前を言ってくれた事にホッとする。

こういうところが好き。
当たり前に私を1番に考えてくれるところが好き。

「うん。あー…うん。…え今？」
「いや無理やってさすがに。うん」

今、って言葉を聞いて時計を見る。
23時。
…こんな時間に男友達を呼び出すことある？

「うん。ちゃんと彼氏に思ってる事言いや。うん。…はーい、おやすみ」

電話を切って、ごめんなぁって康二くん。

『…ミカちゃん平気？』
「んー何かまた彼氏と喧嘩したって」
『来てって言われた？』
「直接話したいって言われたけど、さすがにAおるし時間も遅いし」

ちゃんと仲直りしいやって言ったって。

『そっか』
「ごめんな映画途中なのに」
『ううん平気。巻き戻す？』
「ええの？」

観たいって嬉しそうに笑う康二くんに私も笑って少し巻き戻す。
再生して、…やっぱりなんとなく、テレビを見ながら聞いてみた。

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