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「Aちゃん」
『ん？』
「康二と別れた？」
1週間後、空きコマにいたフリースペースでそう聞かれた。
『…みんな知ってる？』
「んーまだ1部じゃない？」
『翔太くんは？』
「俺はふっかから聞いた」
『そっか』
「あとミカちゃんが騒いでるのがたまたま聞こえた」
『…盗聴？』
「あいつ声でかいんだもん」
たまたま聞こえちゃっただけって話す翔太くんに苦笑いする。
どんな騒ぎ方をって思ってたら
「康二が相手してくれないって騒いでた」
って続けてくれた。
…別に聞いてないのに。
『そっか』
「で、まじで別れたの？」
『別れたよ』
「えっまじなんだ」
知ってたのにちゃんと驚かれて、逆にこっちが驚く。
『…上手くいくといいね、ミカちゃん』
彼女がいてもあんなに頑張ってたんだから、よっぽど好きなんだろう。
そう呟くと
「…え、ガチで言ってる？」
って翔太くん。
『え？うん』
「え、ガチの顔じゃん」
『ガチだもん(笑)』
康二くんはみんなに優しい。
誰に対しても分け隔てなく、明るく接してくれる。
そんな彼に救われた人はたくさんいるだろう。
…私もその1人。
『私は優しくないからさ』
「…」
『…もっと優しい子がいいんだよ。康二くんには』
彼の優しさを素直に受け取れる子。
優しい彼に、優しさで返してあげられる子。
『私じゃダメなの』
悲しいし、苦しいけど。
私じゃ何も返してあげられない。
優しい彼には、もっと素敵な子を見つけて、
もっと幸せになってほしい。
あの後、家に帰ってからも康二くんからずっと着信が来てたけど全部無視した。
家着いた？とか平気？とか、
そんなラインが何件も来たけど既読もつけてない。
溜まっていく通知は、
［ほんまにもう終わり？］
というメッセージで止まった。
終わりだよ。終わろうよ。
きっとこれが、2人にとって1番いい。
『…嫌いになる前にダメになれてよかった』
これ以上好きになる前に、ダメになれてよかった。
そう言うと、翔太くんは
「…そういうもん？」って首を傾げた。
納得してない顔に思わず笑う。
『そういうもんなの、私の中では』
「へえ。…じゃあさ」
携帯をいじりながら続ける。
「別れたなら、飲み誘っても怒られない？」
出来ればサシ、って付け足された。
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noa(プロフ) - 最後翔太くんを選ぶ展開最高です！感動しました！ (2022年10月24日 20時) (
レス) @page40 id: 17a3519150 (このIDを非表示/違反報告)
ぴか(プロフ) - めっちゃ泣きました‼すごいよかったです‼ (2022年10月24日 11時) (レス) @page40 id: 24a776f541 (このIDを非表示/違反報告)
1RNw1b57PQuD3Q9(プロフ) - 胸が苦しくなりながら何回も読み直しました。大好きなお話です。康二君側の視点のお話も読んでみたいです。また素敵な作品待ってます。 (2022年9月23日 22時) (レス) @page40 id: bdaaf2c045 (このIDを非表示/違反報告)
hs.(プロフ) - 期待を裏切る展開が面白く、切なくて、でもそれぞれが真っ直ぐに向き合ってる姿に心打たれました！とても素敵な作品でした。また次回も小説楽しみにしてます！ (2022年9月7日 11時) (レス) id: 37efc71d63 (このIDを非表示/違反報告)
rio66(プロフ) - めっちゃ面白かったです！😭翔太くんが一途で最高だったし、なにより話の展開が面白くて読むのが楽しかったです！😭♡涙腺崩壊してめっちゃ泣きましたァ😭😭 (2022年9月4日 23時) (レス) @page40 id: 1b1cdc44f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めい
| 作成日時：2022年8月6日 23時
