ねえ、先生【黄】

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次の日のバイトは先生のことでいっぱいいっぱいで、あまり集中出来なかった。
店長から体調悪い？って心配されたくらい。

おかしい。
最近の私は何故だかわからないけど絶対おかしい。

受験生だし、早く切り替えないとってその次の日も多目的室にこもった。

英語からやったら躓くのはわかってるから、数学から始めてエンジンをかける。
段々勉強の脳に切り替わってきたところで英語を始めた。

解き始めて、あれ、と異変に気づく。


…前よりわかる、かも。


わからないところはもちろんあるけど、
わかるところが増えてる気がする。


その時、ガラッとドアが開いた。

「あ、よかった今日いた〜」

って笑った先生が入ってくる。


心臓が鳴った。

昨日は授業もなかったし放課後バイトだったから、会うのは1日ぶり。


…ドキドキしてるのはきっとそのせいだ。
久しぶりで、緊張してるから。


自分にそう言い聞かせる。


『どうしたんですか？』
「あ、これ」


先生は持っていたプリントを机に置いた。

「宮崎さんのだよね？名前書いてないから」
『…あ、本当だ』

今日提出した課題のプリント。
名前の欄が無記入だけど、私の字。

持っていたシャーペンでそのまま書き込む。
書き込もうとして、手が止まった。


『何で私のってわかったんですか？』


名前書いてないのに。
そりゃ私はわかるけど。


そう聞くと、

「なんかわかった」

って先生は得意げな顔をした。




「あと2人名前書いてなかったんだけど、宮崎さんのだけわかった」
『…そうですか』




ふふって笑う先生。
まずい、と思ってプリントに目を落とす。

ダメだ。
今先生の顔を見たら、わかってしまう気がする。
モヤモヤの理由に気づいてしまう気がする。

そして、
気づいてはいけない気がする。

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