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10時になった。
震える手で、間違いがないように番号を打ち込む。



カチ、とキーを押すと








『……やった、』








液晶に映し出された、「おめでとうございます」の文字。




消しゴムをぎゅっと強く握る。





…よかった。

私、ちゃんと頑張れた。






下に行ってお母さんには報告したら、おめでとうって泣かれちゃった。
お父さんとか阿部先生とかに連絡して、少し落ち着いてから

『バイト先報告行ってくる』

と言って家を出た。




受験期間中は籍だけ置いてお休みさせてもらっていた。
最後の出勤の時に、ちゃんと報告来てねって店長が言ってくれたのを思い出す。



店に入ったら店長とパートさんがいて、合格しましたって言ったらすごく喜んでくれた。

何か好きなもの買ってあげるって言われて、


『じゃあ、これお願いします』


私は、あのタピオカとチョコを選んだ。



『また復活するので、よろしくお願いします』



会釈して店内を出る。
自動ドアの前でストローを刺して、
飲みながら帰ろうとした、その時。







「あの」






ドクン、と大きく心臓が鳴った。



記憶が一気に蘇る。



何度も何度も、
忘れないように頭を反芻させた、低い声。

ありえない。
だって、もう。

振り返るのが少し怖くて、
でも確かめたくて、

私はゆっくり声の方に振り向いた。

















『……せん、せい、』



















壁にもたれていた男の人が、ゆっくり私の元に近づいてくる。

スーツじゃなくて私服で、
髪もグレーに染まってて、
ピアスもつけてて、

でも、間違えるはずがない。






私の好きな顔。
忘れられなかった顔。




クシャッと笑った彼が、そこにいた。

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stwamhrsgr(プロフ) - 泣いた…😭 (2022年5月10日 21時) (レス) @page34 id: bac95a7226 (このIDを非表示/違反報告)
mm(プロフ) - 朝から、めいさんの作品を何種類か読んだんですが、どれも素敵なお話で中でも、ひーくんの作品には涙してしまいました🥺これからも、作品楽しみにしてます! (2021年11月13日 18時) (レス) @page34 id: c284897396 (このIDを非表示/違反報告)
さと - 確かに岩本くんがクシャっと笑顔をするときは不意にキュンと来ますよね。 (2021年11月12日 20時) (レス) @page6 id: 41ca20e0c9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:めい | 作成日時:2021年11月12日 19時

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