ねえ、先生【黄】

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2月

滑り止めの大学は何個か受かっていた。
これでとりあえず大学生にはなれる。

でもまだホッとはできない。




本命の2次試験は休み時間ごとにチョコを1粒ずつ食べた。


最後の試験。
試験官の終了の合図で、ペンを置く。




……終わった。

長い戦いが、終わった。


結果が出るのは卒業式の次の日。
それまで変なソワソワは続くけど、とりあえず終わった。



駅から家までの道を1人で帰りながら、空を見上げる。





…先生。

私、頑張れたよ。
結果はどうかわからないけど、先生のおかげで、最後まで頑張れた。


『…あと先生のせいで、私もチョコ好きになっちゃった』


誰もいない道で小さく呟いて、少し笑う。



先生はどうだったかな。
教員採用試験。

私は一生結果を知ることは出来ないけど。



でも、大丈夫。





『……先生も、大丈夫』






どうせ誰もいないからって、少し大きく声を出した。
吐いた息が白かった。




_ _ _




そして卒業式。


ふっかが号泣してるのが予想外すぎて笑ってたら、
「お前に情はないわけ？」って怒られた。

こんな時じゃないと撮らないからって一緒に写真も撮った。
まぁ来週あたりにふっかの家族とうちの家族でご飯会するのは決まってるんだけど。



夕飯は卒業だからって少し豪華なご飯だった。
食べながらお父さんに質問される。

「合格発表いつだっけ？」
『明日。10時にネットで』
「やだ緊張しちゃう」
「まぁでも、滑り止めは受かってるしな」
『落ちる前提の話やめれる？』

そう言って笑ったけど、実は結構緊張してる。
その日の夜はなかなか寝付けなかった。





.




そして翌日、10時前。

お母さんにはリビングで待っててもらって、私は部屋でパソコンに齧り付く。



あーやだ。吐きそう。



まだかなって進みが遅い時計を確認するけど、着実に10時に近づいていることに気づいてまた吐きそうになる。


引き出しからまだ余ってるチョコを1粒取り出した。
抹茶味。

食べ物を入れたからか、少し気持ち悪いのが落ち着いた。

付箋をなぞって、消しゴムを握る。




…大丈夫、大丈夫。

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