ねえ、先生【黄】

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家に帰ってまた寝ないで勉強して朝になって、
そのまま学校来て勉強して。

眠いんだけど、眠くない気がする。
多分徹夜が続いてハイになってるのもあるのかな。
だったらこの状態を明日までキープしたい。

放課後も多目的室でずっとこもって勉強する。


先生は実習期間が終わりに近づいて忙しいのか、
今週1度も教室に来なかった。


1つ1つ解いていくごとに、先生との思い出が蘇る。

ここを教えてもらったときは、あんな事を話した。
これを教えてもらったとき、先生はあんな顔をしてた。

その作業を永遠と繰り返して、最後の問題の空欄を埋める。

マル付けをして初めて息をつくと、窓の外は暗くなっていた。


「…え、まだ残ってたの？」


突然ガラッと扉を開けて入ってきた先生。
驚いた顔で私を見つめる。


「部活の子ももう帰ってるよ」
『え、本当ですか』
「先週からずっとやってるよね？ちゃんと寝てる？」
『2〜3時間は』
「まじで？それ睡眠じゃないよ、仮眠だよ」



大丈夫？って机に近づく。
ノートやらプリントやらでひどい散らかりよう。

でもそれを見て先生は優しく微笑んだ。



「…頑張ったね」
『明日なので。こんな1週間で変わるわけないけど』
「1週間じゃないよ」


食い気味に否定される。

顔を上げると、首を振ってもう1度「1週間じゃない」と言った。


「ずっと頑張ってたよ、宮崎さんは」


そう言って私の頭を撫でた。


「だから大丈夫」



…本当に、この人は。



『…やめてくださいよ、』
「え、えちょ、泣いてる？」
『今涙腺ガバガバだから』



手で顔をパタパタする私を見て先生が笑う。

ずっとこの時間が続けばいいのに。
もうタイムリミットが来てしまう。



『明日テストで金曜に結果返ってくるんで、
金曜日、またここに来てもらっていいですか』
「うん、わかった」


俺も明日最後の授業だから頑張るって先生。
「気をつけて帰りなよ」って教室を出ようとする先生呼び止めた。


『先生、』
「ん？」
『…先生も、大丈夫です』


そう言うと、少し驚いた顔をしてからまたクシャッと笑って



「宮崎さんも、大丈夫」



と残して教室を出て行った。




先生の「大丈夫」で少し心が軽くなる。

…よし。
家帰って続き。

パチン、と頬を軽く叩いて急いで帰る準備をした。

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