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『…え、先生、』
「…」
『先生?』


廊下に出て、私の背中を押しながら隣を歩く先生に話しかけても何の反応もない。
悪く言えば無視。

保健室は1階にある。

踊り場に出て、階段を降りるのかと思いきや何故か先生は登る方の階段を選んだ。


『え、何で、』
「…」
『先生』
「…」
『…上下に逆方向なんですけど』
「ふはっ」

え。
…え、笑った?

隣を見ると、いつものクシャッとした笑顔。

「宮崎さんのワードセンスツボなんだよなぁ」
『…よかったです』

あれ。
何か、空気もとに戻ってる。

階段を登って4階に着くと、そのまま廊下を進んだ。
多目的室の前でやっと先生が止まる。

『…え、何で、』
「ごめん、とりあえず入って」

バレたら俺やばいって言われて、確かにって慌てて教室に入る。

先生が1番前の席に座ったから、何となくその隣に座った。

「ごめん。体調平気?」
『あ、全然大丈夫です』

ただの寝不足だしって言うと、良かったってホッとした顔をした。

そして沈黙。


……え、本当に何だろうこれ。
何の面談?


どうにか沈黙を破ろうと頭をフル回転させていると、

「ごめん」

って先生。


『…へ?』
「…昨日、色々言っちゃって、」


色々、の部分で昨日言われた言葉を思い出す。
少し胸が痛くなった。


「宮崎さんの気持ち知らないでって言われて、本当にそうだよなって思って。あげく宮崎さん泣かせちゃうし、俺最低じゃんって」

本当ごめんって頭を下げられる。

違う、やめてよ。
先生は何も悪くないよ。

『や、全然気にしてないんで…
泣いたのは、ほら、受験で情緒が安定してなくて』
「でも、」
「こちらこそ、嫌な感じのこと言っちゃってごめんなさい』

私も頭を下げると、

「いやいや俺こそ」
『私です』
「俺だって」

って何度もペコペコし合った。
その状況がおかしくて、先生とまた話せたことが嬉しくて笑ってしまう。

『ふふっ、謝り合っちゃった』
「…」
『…先生?』
「え、あ、ごめん」

ボーッと私を見つめていた先生がハッとして笑う。

「えと、じゃあ…許してもらえる、?」
『許すも何も、怒ってないです』

私が勝手に悲しくなっただけ。
その言葉は言わないでおく。

すると先生が「あ〜よかった〜!」って手で顔を覆った。

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stwamhrsgr(プロフ) - 泣いた…😭 (2022年5月10日 21時) (レス) @page34 id: bac95a7226 (このIDを非表示/違反報告)
mm(プロフ) - 朝から、めいさんの作品を何種類か読んだんですが、どれも素敵なお話で中でも、ひーくんの作品には涙してしまいました🥺これからも、作品楽しみにしてます! (2021年11月13日 18時) (レス) @page34 id: c284897396 (このIDを非表示/違反報告)
さと - 確かに岩本くんがクシャっと笑顔をするときは不意にキュンと来ますよね。 (2021年11月12日 20時) (レス) @page6 id: 41ca20e0c9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:めい | 作成日時:2021年11月12日 19時

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