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38話 ページ38

長く続いた夏が終わり、満月に照らされた夜空には雲ひとつなく星が輝いている


私は母方の祖父の家に呼ばれ、今は高専に入学する前まで使っていた部屋で本を読んでいる


母方は呪術師の家系で言わずもがな祖父も呪術師


それもまぁまぁ強い家系で私のことは道具としか見てないような人達の溜まり場


「お嬢様」


使用人だ


高専に入ってから私を呼んだのは初めてでいままで呼ばなかったのは五条先生が手を回してたのもあるかもしれない、最近その五条先生は忙しいらしい


それにお嬢様なんて思ってもいないのに呼ぶのは笑えてくるものがあると考えながら返事をする


『はい』


部屋を出て使用人について行くと仏間だった


仏間はいつも大事な話をする時に使う部屋


『…お爺様、Aです』


「入れ」


部屋の襖を開ける時ふと、躊躇う自分がいた


────もしかしたら高専を辞めさせられてしまったり


────昔みたいな辛いことをさせられるのでは


そんな考えが頭をよぎる


そんな考えを無かったことにして、自分の怯えを心の中で嘲笑い襖を開けた


そんな私を嘲笑う人は私の中にもう1人いました

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作者名:黒猫 | 作成日時:2020年10月29日 17時

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