37話 ページ37
平日の夕方頃いつものように1人で教室に残り蔵野Aが読書をしているのを知っていた五条悟はその教室に向かう
前にただ何となく通ったその教室に真面目な顔をして本を読んでいたと思ったら次の瞬間には顔を赤くして照れたり感動してなのか涙ぐんでいた蔵野Aの姿は五条悟の心を揺れさせるには十分だった
「A」
反応が全くない
五条悟の発した声は束の間空気を震わせたあと、部屋にしっかりと腰を据えた空白の中に跡形もなく吸い込まれていった
「A」
もう一度名前を呼ぶ
『は、はいっ』
やっと反応があったと思ったら集中してたのか五条悟が教室に入って来たのも気づいていたかったかのように驚きで目を見張っていた
『気づかなくてすみません』
蔵野Aは読んでいた本にしおりを挟み本を閉じ五条悟の方を向いた
その表情は何か用があるんですかとでも言いたげな不思議そうに思っている顔
自分が言おうとすることをに五条悟は少し躊躇うがすぐ早口に続けた
「…この前渋谷でたまたま見かけたんだけど、隣にいたのは彼氏?」
たまたまではないが偶然を装ったと聞き、この回答が肯定ならそいつのことをなんとしてでも潰してやろうと考える
『彼氏じゃないですよ、いとこです』
ありえないとでも言いたげな表情で話す蔵野Aを見るや否や上機嫌になる五条悟
「そうだよねーグッドルッキングガイなこの僕を差し置いてAと付き合うなんてありえないありえない」
嬉しさが声にのりトーンがいつもより上がっている
『なんでそんなこと気になるんですか?』
「別にー、じゃおつかれサマンサー」
自分の質問には答えさせて蔵野Aの質問には答えずにそそくさと教室を出ていってしまった五条悟の後ろ姿をこれまた不思議そうな表情で見る蔵野Aが教室に残されるだけだった
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作者名:黒猫 | 作成日時:2020年10月29日 17時