29話 ページ29
長い長い夢からさめたように目を開けると、見覚えのある保健室の天井が目に入った
私は大蛇との戦いで命を賭けて…
「A、大丈夫?」
左を見ると五条先生が椅子に座っていた
『……五条先生、私…命を賭けて…、それで…』
あぁ、頭が考えようとしても脳が沸騰して泡立っているようで駄目
思考と会話の速度に言語中枢がついていけない
「僕が呪いを上書きしたんだよ」
処理しきれない情報に五条先生は考えるのをやめたくなるような情報を加える
『呪いを…上書き…ですか…』
「そーグッドルッキングガイ五条先生の手にかかれば簡単だよ」
まだ意識が朦朧としているのか、言葉もすらすらと出てこない
命を賭けた自分自身への呪いを上書きするなら、それ以上の縛りをかけた呪いをかけなくてはならないはず
五条先生は私にはどんな呪いをどうやってかけたのだろうか
「知りたいんでしょ。どんな呪いをどうやってかけたのかって」
『……知りたいです』
「それは、キスしたんだよね〜」
『…………』
五条先生はとんでもない爆弾を落とした
顔がどんどん赤くなり、細い血管までもがうっすらと膨れあがっているくらいには赤くなっているのが自分でもわかった
「生きるのも死ぬのも一緒これから一緒だからね、Aが死んだら僕も死ぬし僕が死んだらAも死ぬくらいの縛りをかけなきゃ呪いは解けなかったよ」
五条先生はいたって普通にぺらぺらと上書きした呪いについて話しているが、私にそれを今すぐ一言一句理解できるような思考を今は持ち合わせていない
『……そうですか』
いかにも理解をしていなさそうな言葉にランクインするような言葉を発し、徐々に動いきてきた脳で、五条先生の言っていたことを整理する
五条先生は私に命を賭け縛りをかけることで私を助けようとし、キスをした…
なぜ五条先生は私とキスをしておいてこんなに平然としているのだろうかと疑問がうまれたが、すぐに女の人に馴れている五条先生ならそれもそうかと自分自身の中で解決した
けど、何ともすっきりしないものが残る
「…そういうわけだから、しっかり休んでね」
五条先生は立ち上がり私の頭を数回撫で、保健室から出ていった
『…………』
私のファーストキスは五条先生…
私をどう思っているのだろうか…
小学生の恋愛みたいな感じが私の中で渦巻きはじめた
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作者名:黒猫 | 作成日時:2020年10月29日 17時