28話 ページ29
勉強会を予定していた今週末になり、私はそろそろ家に着く頃だと思いキッチンで紅茶を淹れていると家のインターホンが鳴った
小走りで玄関に向い扉を開けると、なぜかガチガチに固まっている侑くんと普通にしている北先輩、侑くんの双子の兄弟の治くんがいた
『どうぞ』
「「「お邪魔します」」」
ぞろぞろと3人が家の中に入ってくる
『先に部屋に行っててください、部屋は1番手前なので』
私はそれだけ言いキッチンに向かった
アイスのダージリンの置かれたトレイに視線を落とし、少し考えてから私はクッキーを追加した
トレイを持ち上げ自分の部屋に向かう、部屋には既に3人が座っていた
『北先輩は文系、理系どっちですか?』
「文系や、仙一は?」
『私は理系です』
見事に北先輩とは被っていなかったので手分けをして得意科目を教えることになった
『侑くん、金曜日の数学の小テスト見せて?』
「おん」
侑くんから小テストを受け取り確認する
ちらほらと解けてはいるが気になったのは最後のおまけのような1年生で習う範囲の問題だった
問10 次の方程式の整数解を求めよ
30x+17y=2
侑くんの解答
「答えのある人生なんてつまらん!」
『……これさ、ふざけてるの?1年生の範囲だよ?ユークリッドの互除法だよ?』
「わからんかったねん!」
悪びれもなく答える侑くん
基本的に基礎がなってないのだろう
私は本棚から大量の数学の参考書を取りだして、侑くんの目の前に置く
「なっなんやこれ?」
『なにって、参考書だけど?』
「まさかな…」
顔がすごくひきつっている
『そのまさか、テストまでに叩き込むから』
その言葉を聞いた瞬間侑くんは死んだような顔をしていた
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作者名:黒猫 | 作成日時:2020年4月16日 21時