12話 ページ13
「…一、仙一……仙一!」
誰かの声に突っ伏していた顔をあげる
空はもう赤く染まっていて私は結構な時間寝ていたらしい
『……侑くん、それ着たの?』
「おん」
侑くんは私がつくった王子の衣装を着ていた
椅子から立ち上がり、せっかくなのでミスはないか確認する
『ちょっとごめんね……』
侑くんに近づき確認する
特に目立ったミスやほつれ等もなく安心する
それにしても凄く似合っていた
王子の衣装は悲劇のラブストーリと聞いていたので、明るい色はやめて暗めの色の黒とワインレッドを選択し、肩には金の飾緒、ワインレッド色のマントには金色の刺繍がしてある。
「似合うとるか?」
『凄く似合ってるよ』
侑くんは照れているのか、人差し指で頬をつついている
イケメンなのもあり、本物王子様みたいだなと思ってしまった
「せや、この前の続き」
『うん、聞かせて』
侑くんがサイズを測りに来た時、話の途中で終わってしまって続きを聞いていなかった
「俺のクラスの演劇見に来てくれへんか?」
『もちろん見に行くよ』
自分がつくった衣装を着て演劇に出る人がいるのだ、見に行くに決まっている
「約束やで……」
『うん、約束……』
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作者名:黒猫 | 作成日時:2020年4月16日 21時