6話 ページ6
朝の明るさが加速度を増して広がっていく
野菜も卵も豆腐も、納豆も醤油も焼き海苔も、それぞれ個性的な香りを放ち、そうしたもろもろの食べ物が朝の膳に渾然とした朝のムードをかもし出す
要するに朝一で抜け出すことは出来なかったということ、試みたものの屋敷に何人もの関係者がいて抜け出すにも抜け出せなかった
次はどう抜け出そうか考えながら味噌汁を口にする
かきたまごのふんわりとした食感と色鮮やかな色彩、豊かに広がる味噌の風味が美味しくて頭の中は既にこんな美味しい味噌汁をどう作ったのだろうかという考えに占領されていた
「卵焼き食うか?」
目の前で朝食を共にしている禪院さんがいつもの日常のように振舞ってくる
『…食べます』
卵焼きに罪はないので口にするとこれもまた美味しかった、口に含んだときのじゅわっとしみでるダシの風味の何ともいえない和風の味
ここ最近は任務で忙しくこんなにゆっくりした朝を過ごせなかったので自然にゆったりしてしまう
朝食も食べ終わりお茶を飲みならがら机に頬を突いてぼんやりとしていると様々な声や響きが遠く近くで交差する
何かあったのかな、なんてぼんやり考えていると襖が勢いよく開いた
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作者名:黒猫 | 作成日時:2021年2月28日 21時