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マンションの高層階だからか、ベランダから眠った町が見渡せた。なんやこれ、こんな綺麗なんやな、この街って。ベランダに出て窓を閉める。はえー、なんて口から漏れて、でもそんなこと気にせず静かで綺麗な街を眺めた。小さいと思っていた、生まれ育った街。でも、結構綺麗でいけてるやん。
『……ゾム？』
「うぇっ！？A？」
『寝れへんの？』
「いや、トイレに起きただけや。Aこそ寝れへんの？」
『……うん』
隣から声がして、驚きそちらを向く。隣の部屋のベランダには、同じように街を眺めるAがいた。
「A、まだ大丈夫なん？眠くね？」
『ん？どういうこと？』
「ちょっと話したいことがあんねん、今」
『話したいこと？ええよ、何でも聞くわ』
男物のTシャツを着て笑う。下ろした髪が夜風で遊んでいる。いつもと違うその姿に、少しだけ言葉が詰まってしまった。
「……あ、あー、」
『ん？』
「あ、あ、ありがとうな。オレをあの時、見捨てんで助けてくれて。あ、あのな、ずっとずっと言いたかってん」
『んー、あの時？』
「空き地で腐ってた時……あれや、入学したてでオレが周りと馴染めへんかった時」
『ああ〜！懐かしいね、一年ぐらい前や』
ついて来られんくなった周りがオレから距離を取り始めた、そんな時にAと出会った。あの時からずっと、コイツだけは変わらず仲良うしてくれんねん。それにどれだけ助けられたか。その恩を、まだ返せてへん。
*
中学までは適当に勉強と部活をしてた地味男やった。家に帰ってゲームして、オンラインでマウントとって。学校に行けば隅の方でぼけっと外を見てる。そんなパッとせん奴。それがオレ。だから高校進学を期にはっちゃけたろ、と思って遠くの学校に来た。オレのことを全く知らん奴らとめちゃくちゃしたんねん！中学じゃ出来んことたくさんするで！そう意気込んで、オレは入学早々にクラスのドアをぶっ壊した。
結果は成功やった。みんな笑ってくれたし、オレの名前もすぐに覚えてくれてたくさん遊んでくれた。授業サボって街に行ってタピったり、女子と一緒にカラオケも行ったり。全てが初めてで新鮮やった。だから限度がわからんかった。
「ごめん、ちょっとついていけへんわ」
「な、なんでなん？ もっと遊ぼうや！」
「ゾムくんイケメンやけど、ちょっとぶっ飛んどるよね」
「え？ イケメンってそんな、テレるやん！」
「……」
。
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人妻すここ(プロフ) - 魔王さん» コメントありがとうございます、最高という言葉をいただけてとても嬉しいです、こちらこそ最後まで読んでくださってありがとうございました！ (2021年3月26日 5時) (
レス) id: 89365ba13c (このIDを非表示/違反報告)
魔王(プロフ) - 一気に読んでしまいました！！正直最高過ぎて最後泣いてしまいました！！素敵な作品をありがとうございます！！ (2021年2月20日 22時) (レス) id: 647071a1ea (このIDを非表示/違反報告)
人妻すここ(プロフ) - 都築さん» ありがとうございます、その言葉がとても嬉しいです。ゾンビももう少しで二章が始まるので少々お待ちください…！コメントありがとうございました。 (2020年7月29日 6時) (レス) id: 89365ba13c (このIDを非表示/違反報告)
人妻すここ(プロフ) - 猫目さん» 一気読みしていただいてありがとうございます。結構重苦しくて万人受けしないので大好きと言っていただけて安心しました。コメントありがとうございます。 (2020年7月29日 6時) (レス) id: 89365ba13c (このIDを非表示/違反報告)
人妻すここ(プロフ) - 矩華さん» 一気読みありがとうございます。番外編は考えていなかったんですが、コメントいただいて面白そうだと思ったのでいつか書きます！その時はまた読んでいただけると嬉しいです。コメントありがとうございました。 (2020年7月29日 6時) (レス) id: 89365ba13c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すこ | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/home
作成日時：2020年4月1日 15時
