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「A……！？泣いとるん？」
『……わたし、かえ、かえりたく、ない』
隣のトントンが驚いて声をあげた。自分でもどんな感情で泣いてるのかわからない。
『もう、あの人たちに会いたくない、もうあんなことされたくないよ……』
「そうやな、よく耐えたわ」
膝から崩れ落ちた私の背中をトントンが撫でてくれる。大先生はさっき繋いでいた手をもう一度握ってくれた。涙はどんどん落ちて、屋上のコンクリートにシミを作る。
『家が最悪やから学校が楽しかったんや、みんな優しくて、だから助けたいと思って……』
「みんな先輩に助けられて感謝してますよ」
『……でも、突然女子からシカトされ始めて、だんだんと酷くなって、みんなの事嫌いじゃないのに酷い事されて』
学校も家も最悪で、私の居場所はついになくなってしまった。だから屋上から飛ぶ事を選んだんや。誰でもそうするよ、こんなん。
でも屋上から落ちると、不思議な事に自分の部屋で目が覚めるんや。日付を確認すると昨日と変わってなくて、朝のニュースも、登校してる人も、下駄箱のゴミも全部昨日と一緒やった。そうか、私のために止まってくれたんや、そう思った。繰り返す日々でどうにかいじめてくる子達の誤解を解こうともがいて、毎日違うアプローチをした。でも結果は変わらず、それどころか酷くなるばかり。諦める、という選択で私は私を守っただけや。
『ごめんな、お兄ちゃん。私の事毎日見送ってくれて』
「……可愛い妹だからな、当然だろう」
『私、学校の事全部お兄ちゃんのせいにして逃げた。私の問題やのに、押し付けて自分だけ逃げてた』
「それは違うぞ、俺の言葉でAを追い詰めてしまった、なのに勝手に諦めて、毎日手を離してた。すまなかった」
お兄ちゃんが近づいてきて、ハンカチで私の涙を拭いてくれる。雑だけど優しい手。ずっとずっと昔の、小さかった頃と一緒だ。お兄ちゃんはどんな時でも味方、それはわかってたはずなのに。
『ごめんなさい……！』
「もう謝るな、目が痛くなるぞ」
止まらない涙をずっと拭いてくれるお兄ちゃん。暖かい手で背中をさすってくれるトントン。手を握ってくれている大先生。ゾムもショッピくんもエーミール先生もマンちゃんも、心配そうに見守ってくれている。
『私、警察いく』
「おん、よく言った」
「けどちょっと待ってな？」
立ち上がると、私の目の前に立ったゾム。口元はいつもの様に楽しそうに歪められていた。
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人妻すここ(プロフ) - 魔王さん» コメントありがとうございます、最高という言葉をいただけてとても嬉しいです、こちらこそ最後まで読んでくださってありがとうございました！ (2021年3月26日 5時) (
レス) id: 89365ba13c (このIDを非表示/違反報告)
魔王(プロフ) - 一気に読んでしまいました！！正直最高過ぎて最後泣いてしまいました！！素敵な作品をありがとうございます！！ (2021年2月20日 22時) (レス) id: 647071a1ea (このIDを非表示/違反報告)
人妻すここ(プロフ) - 都築さん» ありがとうございます、その言葉がとても嬉しいです。ゾンビももう少しで二章が始まるので少々お待ちください…！コメントありがとうございました。 (2020年7月29日 6時) (レス) id: 89365ba13c (このIDを非表示/違反報告)
人妻すここ(プロフ) - 猫目さん» 一気読みしていただいてありがとうございます。結構重苦しくて万人受けしないので大好きと言っていただけて安心しました。コメントありがとうございます。 (2020年7月29日 6時) (レス) id: 89365ba13c (このIDを非表示/違反報告)
人妻すここ(プロフ) - 矩華さん» 一気読みありがとうございます。番外編は考えていなかったんですが、コメントいただいて面白そうだと思ったのでいつか書きます！その時はまた読んでいただけると嬉しいです。コメントありがとうございました。 (2020年7月29日 6時) (レス) id: 89365ba13c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すこ | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/home
作成日時：2020年4月1日 15時
