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「Aちゃんが抱えている問題はいじめだけじゃないやろ？僕らはそれからも助けたい、でも僕らだけじゃどうにもならんと思ったから、エミ先生に頼んだんや」
『……なに、を？』
「Aちゃんの家に行ってくれって」
汗が一気に出て、思わず口を押さえた。視界がぼやける。胃から何かが出そう。嘘やん、一番見られたくないのに。
「担任でもない私が家庭訪問するのはおかしいと思ったので、オスマン先生に話して行ってもらいました」
「……行ったよ、Aは行って欲しくなかったやろうけどな」
『いや……やめて』
「こんなところで詳しくなんて話さへんよ、でも鬱には説明したい、ええ？」
『嫌や、お願い、』
なんでこんな事になってしもうたんや。私が嫌な事から逃げたから？これ以上現実を生きたくなくて、過去に逃げたせい？そのツケが今なら、もう逃げないから、許してや。
「マンちゃん、教えてや。Aちゃんの家で何を見たか」
「……すまんA、話すで」
『なんっ、で、』
「こいつの家は少し、普通とちゃうかった。Aを溺愛する義父と、それに嫉妬する母。特に父親があかんかったわ」
「……つまり？」
「つまり、Aをあの家に帰すのはやめた方がええってことや」
あの家に行ったんか、両親に会ったんか。私に冷たい母と、ひたすら気持ち悪い父。外面はいいはずなのにそこまでわかるのはさすが教師。
思い出せば思い出すほど胃から何かが込み上げてくる。今日を繰り返すことで閉じていた蓋。それが今開いて、以前にされたことを次々と思い出した。
嫌や、やめて、逃げ出したい。こんな人生もう一歩も進みたくない。またフェンスの向こうに、この人たちを振り切って落ちてしまいたい。でも、ここにいるほとんどは私と同じく記憶を持ったまま朝を迎えるんだ。知られてしまった事実はもう消せない。やり直しは、もう出来ない。
「……みんなで話し合って、Aを警察に保護してもらおうって事になった。家に帰すのは危険やし、でも無責任に逃げろなんて教師は言えへん」
「俺らもええと思ったわ。家庭の事はさすがに生徒会でも無理やし。なあ、ええよなグルッペン」
「……大切なのは本人の意志だろう」
たくさんの目が私に向けられる。嫌や、見ないで。警察に行ったところで解決するんやろか？あんな事をされない保証は？
いつの間にか手が濡れていた。口から出たものではなく、目から溢れていたもので。
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人妻すここ(プロフ) - 魔王さん» コメントありがとうございます、最高という言葉をいただけてとても嬉しいです、こちらこそ最後まで読んでくださってありがとうございました！ (2021年3月26日 5時) (
レス) id: 89365ba13c (このIDを非表示/違反報告)
魔王(プロフ) - 一気に読んでしまいました！！正直最高過ぎて最後泣いてしまいました！！素敵な作品をありがとうございます！！ (2021年2月20日 22時) (レス) id: 647071a1ea (このIDを非表示/違反報告)
人妻すここ(プロフ) - 都築さん» ありがとうございます、その言葉がとても嬉しいです。ゾンビももう少しで二章が始まるので少々お待ちください…！コメントありがとうございました。 (2020年7月29日 6時) (レス) id: 89365ba13c (このIDを非表示/違反報告)
人妻すここ(プロフ) - 猫目さん» 一気読みしていただいてありがとうございます。結構重苦しくて万人受けしないので大好きと言っていただけて安心しました。コメントありがとうございます。 (2020年7月29日 6時) (レス) id: 89365ba13c (このIDを非表示/違反報告)
人妻すここ(プロフ) - 矩華さん» 一気読みありがとうございます。番外編は考えていなかったんですが、コメントいただいて面白そうだと思ったのでいつか書きます！その時はまた読んでいただけると嬉しいです。コメントありがとうございました。 (2020年7月29日 6時) (レス) id: 89365ba13c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すこ | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/home
作成日時：2020年4月1日 15時
