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「あんときは、ホンマにありがとうな」
『……懐かしいね』
「な、僕まだ包丁直視出来へんもん」
笑い話に出来るのも、俺の体に穴が空いてないのもAちゃんのおかげ。あの時からずっとずっと言いたかった。
「あの後もな、まあ修羅場はあったけどなんとか楽しくやっとるで」
『おん、噂は聞くよ。本人が遊び人だって認めたって』
「ちゃんと最初に説明しとんで？僕はみんなと遊びますーって。もうあんなことにならない為に」
『うん、それがええ』
はは、と笑ってお互いカフェオレを飲む。空になった皿とマグカップ。対照的に満たされたのはお腹と、心。
あの日のことを笑い話に出来たんは絶対Aちゃんのお陰やし、女遊びを続けていられるのもAちゃんのお陰。毎日俺なりに楽しくやらせてもろてる。だからさ、Aちゃんにだって生きて欲しいわけよ。
「じゃ、そろそろ行こうか」
『どこに？結構いい時間やで？』
「そら、学生が行くところといえばあそこしかないやろ」
『？』
「学校や」
伝票を持って立ち上がる。拒否される前に強引にレジへ向かった。しぶしぶ着いてきた姿を横目で見ながら、手早く会計する。御馳走様、ありがとなぁ。伏し目がちに言われて、今日の疲れが吹き飛んだ。
店を出ると、日が沈んでいて辺りがオレンジ色に染まっている。六月十五日が夕方まで進んだんや。何日も何日ももがいて、やっとここまできた。さあもうちょっと頑張ろう、俺。
「行くで」
『ひっ！』
「やっぱ手ぇ繋ぐん嫌なん？」
『だって……付き合ってもないのに繋がんやろ普通』
「ええやん、友達同士でも繋いだって」
無理矢理手を掴んで学校へ向かう。反対の手でスマホを操作し、トントンへメッセージを送った。
今から学校へ向かうから。Aちゃんと。
『でも今学校行ってももうみんな帰っとるやろ？それに私、早よ帰らんと』
「みんなおるよ」
『え？』
「学校にAちゃんの味方が集まっとる、Aちゃんを救うために」
帰らせないようにひたすら歩いて、朝入らなかった校舎へ入る。上靴に履き替えていると、Aちゃんが上靴を持って呆然としていた……そうか、今日もトントンが綺麗にしてくれたんやな。背中を優しく叩くと、ゆっくり上靴を履いた。手を繋いで、ゆっくり階段を上がる。どちらも何も言わず、ゆっくり。ゆっくり。
重たい扉を開けると、屋上にはみんながいた。
「やあ、みなさん勢揃いで。僕らはデート楽しんで来ましたわ」
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人妻すここ(プロフ) - 魔王さん» コメントありがとうございます、最高という言葉をいただけてとても嬉しいです、こちらこそ最後まで読んでくださってありがとうございました！ (2021年3月26日 5時) (
レス) id: 89365ba13c (このIDを非表示/違反報告)
魔王(プロフ) - 一気に読んでしまいました！！正直最高過ぎて最後泣いてしまいました！！素敵な作品をありがとうございます！！ (2021年2月20日 22時) (レス) id: 647071a1ea (このIDを非表示/違反報告)
人妻すここ(プロフ) - 都築さん» ありがとうございます、その言葉がとても嬉しいです。ゾンビももう少しで二章が始まるので少々お待ちください…！コメントありがとうございました。 (2020年7月29日 6時) (レス) id: 89365ba13c (このIDを非表示/違反報告)
人妻すここ(プロフ) - 猫目さん» 一気読みしていただいてありがとうございます。結構重苦しくて万人受けしないので大好きと言っていただけて安心しました。コメントありがとうございます。 (2020年7月29日 6時) (レス) id: 89365ba13c (このIDを非表示/違反報告)
人妻すここ(プロフ) - 矩華さん» 一気読みありがとうございます。番外編は考えていなかったんですが、コメントいただいて面白そうだと思ったのでいつか書きます！その時はまた読んでいただけると嬉しいです。コメントありがとうございました。 (2020年7月29日 6時) (レス) id: 89365ba13c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すこ | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/home
作成日時：2020年4月1日 15時
