Love me do. (ページ14)

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ab side

モデルさん率いてのお仕事、俺にとって今回が初めて。

今、超がつくほどの人間モデル目黒蓮さんをうちの会社が採用した。

俺も初めてのことばかりでテンパっていて先輩に顔洗ってこいと追い出されてしまった。

ドサッ

「わっ！ごめんなさいっ」

下を見ながら歩いていた俺は突き当たりのところで人とぶつかってしまった。

落としてしまった資料をすぐに拾ってくれたその人を見ると体が凍りついて行くのがわかった。

ぶつかった相手は目黒さん。

次元の違うオーラと男でも惚れてしまうほどのかっこいい顔がすぐ目の前にあった。

いやいや、そんなことより目黒さんとぶっかったこと社長にばれたらクビどころの話じゃなくなる。

何回も頭を下げる俺に目黒さんは「阿部さんは怪我とかないですか」と優しく返してくれた。

確かまだ19だったよな…

年下なのにしっかりしてるな…。

しかも名前、阿部さんって呼んでくれた。

落ちた資料を渡そうと近づいてくる目黒さんに自然と後ずさりをしてしまった。

俺なんかがまず話してもいい相手なのか。

撮影なのでと言う目黒さんに笑顔を見せて頑張ってくださいと言った。

数秒間びっくりしたような顔をした後、目黒さんも笑顔を見せ撮影場所へと歩いて行った。

その笑顔には孤独を感じるような悲しい目をしていた。

俺なんかでいいから、こんな奴でもいいなら、彼の本当の気持ちを知りたい。

なんて。

今日、俺と彼の人生が変わるなんてこの時は知るよしもなかった。