開幕 20××年某月某日 ページ1
【繰り返します、本日未明、突如として一つの都市が消えました。消えた都市は×××市、×××市です。
隣の冬木市の住民によれば、「何がなんだかわからないが、その市のシンボルだったでっかい塔が消えていたから車を走らせた」とのこと。結果からすると、人の姿はなく…また、市内にあったビルや建物など全てが跡形もなく消え去っていたようです。消えた理由は解明されておらず、────】
ニュースキャスターにしては出来の悪い言葉足らずな放送だ、とつまらなさそうに吐き捨てた■■■■はピッ、とテレビのリモコンの電源ボタンを押し、耳障りなニュースを遮断した。
「そう言わないの」と呆れたように笑った女性の声に振り向けば、■■■■は鼻でその女性を
「よく言うよ。仮にも君の育った場所が失くなった〜っていう報道なのにさ」
「そうだねぇ。だから出来の悪い放送だ、なんて言わないであげてよ」
「……ホント、
よっこいせ、とソファから寝転がっていた身体を起こすと、机の上に置かれているサラダのプチトマトをひょいっと摘んで口にする。
プチッと歯で潰せば出てくる酸味に素直に顔を歪めると、女性は面白いのか「あはは」と笑った。
「サーヴァントは食事を必要としないんじゃなかったっけ?」
「今更それ言う?
こんなちっさいトマトだけじゃ足しになんないけどね、と付け加えれば「それ催促?」と首を傾げながらも台所からこちらに向かってきて、メインをコトン、と机の上に置いた。
「わかってるじゃないか!
今日の朝ごはんは──
ふぅん、食パン…をトーストした…なんだこれ、チーズ?…うわ、朝から重いもの食べるな、君…」
「文句言うなら朝ごはん無くすよ?」
「わぁい美味しそうだなー。流石マスター、料理もお手の物だとはね!」
棒読み感溢れるお言葉を頂戴し、
二人は席に着く。
もちろん対面で、だ。
「いただきまーす」
女性は丁寧にそう挨拶をし、食べ始める。
対して■■■■は手も合わせずにパンを手にしてもぐっ、と口にした。
瞬間、サクッ…といい音が耳に届き、先程のプチトマトとは違ってほのかな甘みとチーズのしょっぱさが口いっぱいに広がる。
「…ふーん、悪くないじゃん」
そういった彼に、女性は少しだけ驚いたあと「ふふ、」と笑って「でしょ」とドヤ顔をした。
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作者名:巡 | 作成日時:2021年11月15日 19時