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「てっくん」
「なに?」
小学校高学年のとき。
とある女子生徒に声をかけられたのが始め。
その女子は同じクラスで、割と俺に声をかけてきた子だったと思う。
放課後の夕焼けがキレイにオレンジに染まる中、告白された。
「私、てっくんのこと、大好き!つきあお…?」
小学校高学年だけど、"付き合う"がどういう意味を指すのかは嫌でも理解していた。
家の両親は離婚して別居中。
俺は父親に、姉は母親に引き取られた。
離婚前、夜中に響く母と父の怒声に枕で耳をふさいで過ごしていてあの寝方が身につき、寝癖が直らなくなった。
原因は父と母、お互いがお互いに認知せずに不倫をしていたこと。
しかしお互いに何処か察していたのだろう。
父の単身赴任を機に離婚となったが、まぁ、そういう過去を含めて誰かと付き合うっていうのは自分の中ではストレスで無理だった。
「……ごめん。」
折角高くなったコミュニケーション能力も、告白をされたことによって少し低下する。
なんて言ったらいいかわからなくて、喉が詰まって、呼吸が不規則になった。
「……なんで!わたしのこと嫌い?」
「……ぅ、ぅん…違うよ、ただ、その、あまり……話したことない、から、……」
女の子の勢い余ったその言葉に大きくビクッと肩が跳ね上がり、目線を合わせずに必死に言葉を探す。
「……てっくん、Aちゃんと仲いいよね。つきあってるの?」
「え?……いや、Aとはバレーのチームが一緒で、よく練習してるだけだよ」
何故そこでAの話題が出たのか。
俺も彼女も、付き合っていないし恋人としてみていないし、認知だってしてない。
青春においての、大切な"仲間"という認識だ。
だけど、勘違いする人はそれなりにいる訳で。
「………ふーん」
「わかった」。
そう言って告白の話は終わったのか、彼女は教室をあとにした。
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作者名:巡 | 作成日時:2021年8月10日 20時