Aぇアイドルと王子様③ (ページ37)

今日:16 hit、昨日:10 hit、合計:10,950 hit

緑のネコのぬいぐるみページ37

末澤side

あんなんと友達とか正直言うと、癪でしかないけど、しゃあないから友達でええわ。

そう思いながら、俺は緑のネコのぬいぐるみを見つめた。

岳「誠也、どないしたん？そんなに凪音のぬいぐるみガン見して。もしかして、興味でも湧いた。笑」

末「はぁ！？そんなんちゃうよ！！このぬいぐるみ見てたら、アイツの暴言思い出してもうただけや！！今すぐにこのぬいぐるみ投げつけたいくらい！！！」

岳「それは、ぬいぐるみが可哀想やから辞めてあげて。」

そう言うと、岳兄から「ドリンクバーだけや悪いから奢ったる」と言われ、俺はその言葉に甘えて、いちごのショートケーキを頼んだ。岳兄はチョコレートケーキ。
それをお互い食べながら、最近のお互いの近況について話をした。

岳「誠也達も忙しいみたいやん。今度、TGCとかいうのにも出るんやろ？」

末「え？なんで知ってるん？？俺らサプライズで出るのに。」

岳兄は、一瞬ヤベッという様な顔をした。

岳「…まぁ、俺らも色々な情報網があるわけよ。」

確かに…同じような活動しとったら、どこかから情報が入る事もあるよな。
そんな特に気にする事でもないと思った。

岳「頑張れや、大きな舞台。俺はその日、仕事やから、行かれへんくて誠也の晴れ舞台を見に行く事は出来ひんけど。」

末「岳兄も忙しそうやな。雑誌見たで。今までイラストやったんに、顔出すなんか思い切った事したな。」

岳「社長命令やから、しょうがなかったんよ。歌い手も色々大変なんよ。」

王子様ちゅうのも、中々大変やな…。
歌い手っていうのも、だんだん変わってきとるな。

でも、俺には少し気になっていた事があった。

末「……アイツは良かったん？」

岳「アイツ？？」

末「A。顔出すなんか、1番嫌がりそうやろ、アイツ。」

岳「あぁ、Aな。まぁ、嫌やったやろな。そんなん言うたら、正直俺らやって、そんなノリノリで顔なんか出してへんよ。ノリノリやったら、最初から顔出して活動しとるで？」

まぁ、確かにそうか…

岳「でも、Aはこの活動に命をかけてるみたいやから、どんな事をしても、例え自分を犠牲にしたとしても、活動をしていくって決めてるから、誰にも止められないんよ。」

そう言った、岳兄の表情は少し悲しそうやった。

この前、Aが言っていた人魚姫の話…

何かを犠牲にしているような表現…。

俺は、目の前のいちごのショートケーキを見つめて、Aと会った日の事を思い出した。