彼氏様×彼女様 *短編集【名前変換オリジナル】

有能な人 ページ2

お日様が西に傾た頃

私しかいない、広い教室




「あー・・・」




教室の隅っこにある、扇風機の前にしゃがんで声を出す

・・・駄目だ、暇だなぁ



私の彼氏様は

容姿端麗な有能な人




「・・・だからって、持ってかないでよ」




ほんとに、私とはつり合いそうもないくらいの凄いお人なんです

なので今日も、他の仕事が回ってきた



でもね、でもね




「・・・独りは、嫌だなぁ」




扇風機の風で

声が、宇宙人みたいに聞こえる




「・・・うっ」




視界がにじんでく

やっぱり寂しい、独りは嫌だよ



そう思ってた時、




『っ、やっと、いた・・・っ』




今、まさに会いたいと

誰よりも会いたいと思ってた人の声




「・・・っ、秋っ」




私は脱兎のごとく、

秋に抱きついた



――ぎゅぅっ



すると、秋は吃驚した顔をして、




『・・・ごめん、独りにして』




私の背中をぽんぽんと軽く叩いた

それでも止まらない涙




『今日で全部終わったから』


「・・・っ」




耳元で、低い声で、囁かれる




『・・・やっぱ、構ってほしかった？』




もちろん、と首が縦に動く

すると彼はまたまた驚いた顔をして




『へー、今日はえらく素直ですねー、Aさん？』


「・・・うるしゃい」




ぽすっと、秋の胸に顔をうずめる




『大丈夫、今日はずっと一緒にいるから』




そんな言葉を言いながら、

秋は私の頭に唇を押し当てた

ダイエット　→←煙草

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す