＃１７ - ３ ページ27
「おま、呪詛……ぃや、まさか……!?」
『あー、私は"術師殺し"だなんて大層な敬称貰ってはないから勘違いしないでね。』
「……では、なぜ!?」
会話をしながら、自らの右手を彼の腹部から抜き取る。勢いよく抜き取った拍子に飛び出すのは彼の新鮮な血液。
飛び散った血液が、彼女を汚す。
嗚呼、またすぐに思ってしまう。
実に、【不快】だ。
『貴方の持ってるソレに用があるだけなんです。』
「…ぇい、しょ…か。」
段々と細くなる脈と呼吸。
路地裏の汚い壁にもたれかかっては、意識を保つために必死こいて冷静を装う鏑木を見下ろして彼女は思う。
『あっけないんだなぁー……。』
命の終わるその瞬間は、本当に呆気ない。
想像していた以上の、感情が溢れて揺れてしまうような感じは全く無くて。
ただ、ひたすらに【無】であった。
『最期に、言うことはある？』
Aが、胸元から折りたたみのナイフを取り出して鏑木に刃先を向ける。
それを見上げた鏑木は、不敵に笑みを零しては【呪言(ことば)】を贈る。
「【この先のお前の人生、絶望で溢れろ。】」
強い赤い光に、彼と彼女は包まれる。発光した瞬間に彼女は手元のナイフを鏑木の眼球目掛けて投げつける。
そして、光が消えると同時に鏑木は息を引き取って腕時計と変化していた映晶は本来の姿に戻っていてAの足元に転がってきた。
『……こんなもので、呪いがかかるわけが無いから。』
小さなビー玉のような映晶を拾っては、眩い程の月に目掛けては、それを照らして見透かして見る。
恐ろしい程に透き通っている映晶は、呪いを秘めているようには全く見えなかった。
この呪具を見て、汚く残酷な本性を秘めている"人間"そのもののようだと感じる。
『……あー、殺しちゃったんだな。』
鏑木の返り血は、酷く鼻につく鉄の臭い。
血塗れの右手は、爪の中までルベル色に染められていた、
ひとつの、儚い生命を奪った感覚。
それは、甚爾が言った通りだった。
突然、唇を奪われる如く
あっという間に終わっている出来事だ。
甚「いい子じゃ無くなった気分はどうだ？」
暗闇から現れた彼女の師は、飄々とした態度で歩み寄る。だが、彼女を瞳に捉えた瞬間…息を飲んだ。
月夜に照らされた、血塗れの彼女は______。
『…甚爾くん。』
ひどく、美しくて。
ひどく、哀しい。
その光景に、心臓が高鳴ることを自覚してしまう。
許されない。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーナンバー
8
ラッキーアルファベット
X
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 150人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夕憑紅(プロフ) - 曲、私的には、なきそ様の［ ド屑 ］ だと思います。考察読んでそれっぽいなとも思いました。面白かったです。 (5月5日 21時) (
レス) @page35 id: 2500c6590e (このIDを非表示/違反報告)
エゴ信者。 - B.E.E.L.E.さん» 応援し続けてくださりありがとうございます！イメソン、めっっちゃくちゃやばかったです…。え、最高すぎましたまさにイメソンすぎて…本当にありがとうございます。引き続き頑張ります！ (1月12日 3時) (レス) id: 665876339a (このIDを非表示/違反報告)
B.E.E.L.E.(プロフ) - 続編おめでとうございます！あと、私的にイメソンはPretenderだったので悟のイメソンが可愛いすぎて笑いました！笑これからも楽しみにしてます！ (1月11日 2時) (レス) @page7 id: cde15767ef (このIDを非表示/違反報告)
エゴ信者。 - きょさん» コメントありがとうございます！そう言って貰えるだけで頑張れます…！思考が似通っていたら嬉しいです、その妄想も機会があればぜひ聞きたいです！笑 (1月11日 1時) (レス) id: 665876339a (このIDを非表示/違反報告)
きょ - うおー！！続きが気になる！これからどうなるか妄想しながら待っます！ (1月10日 2時) (レス) @page5 id: c9d0d6f436 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：エゴ信者。 | 作成日時：2024年1月10日 0時
