girassol (ページ5)

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新学期ページ5

-A-

マネージャーに車で送ってもらってるとき
窓の外を眺めていると
真新しい制服に身を包んだ
いろんな人が歩いてるのがよく見える

昨日までなかったその姿にしばらく考えてみると今日が入学式だということに気付く

入学式といえば新しい出会いだよね

俺らのいる業界は、出会いはあるけどそういう区切りがないからちょっと羨ましく思う
でも、別れがないっていうのもこの業界のいいところなんだけどね

その別れのない出会いのなかでも特に古株なのは17年前に出会って今隣でゲームをやってるコイツ
茶色くて水っ気の多い目にはゲームの液晶画面が映ってるケド…
俺が隣にいるのもわかってるのかな

「ちゃんとわかってますよ」

アレ
俺声出てた？

「俺のことじっと見てたし、どうせ俺が隣にいんのわかってんのかとか思ってたんでしょ」

さすが
にのにはなんでもお見通しだね

出会いってさ、俺は運命の塊みたいなモノだと思ってるんだよね

にのと出会ったのだって

たまたま同じ時期にJr.になって
たまたま同じ電車で
たまたま話しかけられてさ
一緒に雑誌に出させてもらったりシンメで踊ったり

今でこそいろんな人と友達になるのが楽しいけど、昔ははお互い友達を作るのが下手だったからずっと一緒にいたんだよね

でも、あの頃はいつか別れが来るんだろうなって思ってたんだよ
もちろん、友達じゃなくなるワケじゃないんだけど
俺らも学生だったしさ、デビューできるのかもわからなかったし

にのは一時期ホントに辞めようとしてたからね
お芝居の仕事をしてるうちに裏方をやってみたくなったからって
その話をするにのはホントにキラキラしてた
だから、同じ仕事はできなくなるかもしれないけどそれでもいっかなって思ってた

そんな俺とにのには17年経った今も別れが来る気配はない

隣にいるにのの髪の毛をわしゃわしゃしてやる
「んだよ、髪ぼさぼさになんだろが」
とっくにゲームをやめていたにのが顔を上げる

言葉だけで手は払われないから本気で嫌がってるワケじゃないんだよね

「これからもよろしく」

ずっと一緒にいさせてね

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