girassol (ページ13)

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台風が過ぎた頃ページ13

-A-

「あづいよぉ～」

雑誌を捲る手を止めて
声のする方を向けば、にのは窓を全開にしてぴったりとフローリングにうつ伏せになって顔だけ上げてぴこぴこゲームをしてた

「なぁに言ってんの。扇風機もにのが独占してるでしょ」

「クビが回って風があたってないとこが余計に暑いんだよぉ～」

あーもうダメだ、とか言ってゲームを手放したにのは、仰向けになって窓の外を眺めてた

外はだんだん暗くなってるトコロで。
今日の朝来てたここ最近にしては珍しくデカイらしい台風に、梅雨っぽい空気は全部持ってかれて急に夏が来た午後、晴れて久しぶりに見る夕暮れをにのにつられて一瞬見たけど、

…すぐまた目線を戻した

そよそよ吹く風にカーテンも揺れて
寝転がってるにのの髪を揺らす
そよそよそよそよ、くすぐったくなるような風がにのの上を通って俺のトコロに届く。
扇風機の風が足元からあたって、少しだけにのの服を捲る

「にの。お腹出てる」

「んぁ～、涼しい～」

俺の言葉が届いてるのか届いてないのか、
お腹に右手を置いてこれ以上めくれないようにするだけだった

その様子をじっと眺めてると
ふと、外の淡い感じとにのが重なって

無意識、だったと思う。
にののほっぺに触れてた

そんな俺をチラ、と見てしょーがねぇなぁって笑いながら起き上がっては、俺の正面に座りなおしてコツン、と頭を俺の右肩にあてた。

またチラ、って俺を見たんだけどすぐ下を向いちゃってなんかモゴモゴ言ってる。

なぁに？って聞き返すと
最近映画の為に切った髪からのぞく耳が少し赤くなって
「……俺を勝手に消すんじゃねぇ。」

って少し下から籠った声がした

これもまた無意識だと思うんだけど、気づいたらにのの背中に腕を回してぎゅう、って抱きしめてた

「…ちょ、おい。まー、ちゃんと聞い「ちゃんと聞こえた。ここに、ちゃんといる」

被せてそう言うとふっ、て笑って腕を回してくれた
はいはい、とか言いながら背中をぽんぽんしてもらって俺幸せだなー

「にのちゃん？」

「んー？」

「も、だいじょぶ。俺とくっついてたら暑いでしょ」

「俺、相葉さんとくっついてて熱いなんて思ったことないよ？」

…え？

「確かに、冬にくっついててもあったかくていいけど俺、相葉さんとくっついてるとココロもあったかくなって暑いのなんか忘れちゃうから」

俺の顔を覗き見て得意げに微笑んでこう言った

「だから俺はアナタのそばから消えたりしません」

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