girassol (ページ12)

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梅雨ページ12

-N-

ザァザァ…という音に目が覚めて
いつもならここで二度寝するんだけど、
今日はなんとなくそんな気分じゃなくて
布団から起き上がって窓の外をのぞく

もう最近は朝に窓を開けてもすっかり寒くなくなった、んだけど…

んー、今日も雨かぁ

梅雨っていうのはあまり、っていうか

好きじゃない

ん？
あぁ、基本外に出ないワタシに、外の天気なんて関係ないとか思ってんでしょ

そうでもないのよ、これが。

外を見れば代わり映えのしない一面グレーの空、泣いてるみたいでコッチまで気分が落ち込むし
表情があまり変わらないトコロが…

なんて言うか…俺みたいで。

こう思うのもあのヒトのせいなのかもしれない

パッと咲くように笑ったり
その笑顔が消えてスッ、と真剣な顔になったり
他の人が見たらわからないくらい微妙に顔が険しかったり

…泣いたり。

コロコロ変わる表情は17年間見てても飽きることはない
俺も芝居でそういうカオはするけど、あれはあくまで"演じてる"俺であって
あのヒトみたいに天然モノじゃないワケ。

"俺"なのか"オレ"なのかわかんなくなる時もある
…だから一人称が定まんないのかもね

ワタシって言ったりもするし

「ねぇ」

「んー？」

いつの間にか隣に座ってた相葉さんに話しかけてみた

「俺、この時期嫌い」

「…ねぇ、カズ。
どうして梅雨って雨が降るんだと思う？」

「…え？表情がないからとりあえず泣いてるみたいなことじゃないの？」

「ふふ、泣いてる…か。確かにそうかも。
俺はね、溜まってた不安が一気に降り落ちてくる、ってそう思ってるんだ。俺らのも一緒にね
だから、梅雨が明けたら空も俺らも心が軽くなってピッカーンって晴れるの」

そう言って相葉さんはとびっきりの笑顔を俺に向け

「空もずっと晴れてるの大変でしょ？
だからたまに休憩すんの」

急にまーの匂いに包まれて顔が熱くなる

「ばっ…おい、何して…」

「俺、カズのいろんな表情見れて嬉しいよ？
くふ。可愛い」

全く、あんたといると悩んでるのも馬鹿らしくなるや

空も俺も、厚い雲から光が差し込んだ気がした

そろそろ梅雨も明ける

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