奇蹟 (ページ26)

今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:74,998 hit

第25話ページ26

ナースコールを押す前にともの体に繋がれたモニターがともの異常を知らせる音を鳴らし始めた。

看護師さんたちがすぐに駆けつけてくれた。

「ともくん！ともくん！聞こえるー？すぐに楽になるからねー濵田先生呼んできて！」

看護師さんはすぐにとものモニターをチェックし、ともに声をかけながら脈拍などを測っとる。

「ちょっとお母さん下がってて下さい」

濵田先生が走ってきて、苦しそうに呼吸するともの心音を聞いて、すぐに心エコー準備して！と言うた。

酸素マスクがつけられ、ベッドを起こして背中にクッションが入れられた。

俺はその様子を病室の隅に立って、呆然と眺めとることしか出来ひんかった。

濵田先生はエコーを使って、ともの心臓を見ている。

「急激な僧帽弁逆流が起きとる。...僧帽弁の腱索断裂や。すぐにオペ室の準備！緊急オペや」

1人の看護師さんが返事をして、電話を片手に出ていった。

「先生！血圧とサチュレーション落ちてます」

「アンビューで呼吸助けて、すぐに運ぶで」

濵田先生はようやく俺の方を見た。

「このままやとともくんの心臓は持ちません。元々ともくんの僧帽弁は上手く機能していなくて薬で様子を見ていましたが、状態が悪化したため、僧帽弁の緊急手術を行います。同意書にサインを頂いてもよろしいですか？」

俺は言葉も出ず、ただコクコク頷き、言われたままに同意書にサインをした。