机の上、君へ伝言

１７、《輝く、花火大会》 ページ18

・向井目線




どないしよ、どないしよ〜！！








花火大会前日、俺は部屋の中で暴れ回る





『ダメや、楽しみすぎて寝られる気がせん！』






下からママがなんか怒っとるけど、それも気にならんくらい緊張しとる



そんな俺が連絡する相手は








　







『ラウール！』


「康二くん、俺眠いんだけど…」


『ダメや！俺が寝られへんの！』






大親友のラウール




しかし時間は日付を跨いでるため、どうも眠そうや


いやいや、お願いやから俺のために起きてや〜！








「んー、じゃあ、浴衣選んだ？」


『おう』





睡魔と戦って、どうにか俺に話を振ってくれる優しいラウール



ほんま、心が痛くなるわ






『カラフルなのと迷ったんやけど、幼すぎる思うて白にしてみた』


「ふーん、いいんじゃない？」





俺はハンガーに掛けられた浴衣へと視線を移す







白を基調としていながらも所々藍染されていて、少しだけ大人っぽい



コレが俺に似合うかは分からんけど、予想やとめめは黒系な気がするんよな






やからバランスを考えて俺は白


まあ、家庭の話なんやけど








『ラウールは浴衣か？』


「俺は私服だよ、めんどくさいもん」


『ええ、』






どうせやったら、みんなで浴衣が良かったんにな…


なんて少ししょんぼりして沈黙が続くと






「もう、無理」


『え、何がや？』


「…」


『ラウール！？起きろっ！！』






いっぱい叫んでみたんやけど、電話の向こうからは寝息と変な唸り声しか聞こえへん



ダメや、落ちたな







　


『ごめん、ありがとなラウール』





そうお礼だけを言って、静かに通話を終了した


明日、なんかラウールに奢ってやらんとな








『ふぅ…』




落ち着くように深呼吸をしながらベッドに寝転んで、手を天井にかざした









　






『消えてしもうた…な』




そりゃあ、何日も前に書かれたもんやもん



身体洗えば消えてしまう、それが当たり前や






分かっていながらも寂しさはあって、写真撮っておかんかった自分を恨みたくなった








　





『んー、俺も眠なってきた…』






伸ばした腕がゆっくり落ちていくと


電気の眩しさで目を細める








そして、そのまま目を閉じてしまえば






俺は夢の世界へ呑まれていく







　







　




『め、めっ…』





明日は楽しみやな

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