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どうして……この家の前にわたしは立っているの?


だってここは…………

先生のご自宅で………。


まさか………
嫌な予感が頭をよぎった。

「あっちゃんのお家久しぶりだなー。おばさんたちに挨拶してから家に帰るね」

「でっけーなぁ…。」


昔何度かヒロと足を運んだこの家。

「帰る………」

そう小さく呟いて内田家に背を向けて歩き出す私の腕を掴んだのは翼で

「は?何言ってんだよ。駄目に決まってんだろ。お前ここまできて往生際が悪いぞ?!」

「そっちが勝手に連れてきたんでしょ??」

私と翼のやりとりがどんどんヒートアップする。

綾香ちゃんはオロオロし始めて

「ちょっと、翼さんもAも落ち着けって!」

篤人くんが仲裁に入り始めた時だった。


「外が騒がしいと思って出てきてみたら、篤人か。思ったより早く着いたんだなー」

久しぶりに聞いた声に思わず固まった。

「あ、父さん。ただいま。」

「おじさん、お久しぶりです」

「綾香ちゃん、いらっしゃい。篤人と一緒に帰ってきたのか」

「はい、あっちゃんに甘えて乗せてきてもらっちゃいました。あ、こちら婚約者の進藤翼さんです。」

綾香ちゃんに紹介されたから

慌てて私から手を離して

「はじめまして、進藤です。」

翼は頭を下げてた。

私はいまだに内田家の方を見れずにいた。

「君が綾香ちゃんの旦那さんになる人かー、会えて嬉しいよ。………で、そちらの娘さんは?篤人の彼女かな???」

「違うから、彼女は翼さんの高校からの友達の一ノ瀬Aさん」

篤人くんが私の名前を告げたら

「え???…」

すこし驚いた声を出した。

駄目だ、ここまどくるとごまかしようかない……

意を決して向き合った。

「……お久しぶりです。内田……先生」


神様はどこまで私を試すんだろう。

挨拶しながら、そんなことをふと思った。





「は?2人知り合いなわけ??」

戸惑った篤人くんの質問に

「最後にあったのは教師時代かな?」

「…そう……ですね」

彼は何も知らないのだと、すぐに悟ってくれた先生はうまく誤魔化してくれた。

「懐かしいお客さんも来てくれたことだし、立ち話も何だから入りなさい。」

母さんもきっと喜ぶよ、とつけ加えて、私に微笑んで私達を家に招き入れた。


「まあ、Aちゃん?!ほんとにAちゃん?」

先生の奥様のはしゃぎっぷりは尋常じゃなくて

「母さん、いい年してみっともない」

という篤人くんの嫌味も全く耳に入ってないようだった。

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作者名:めぐ | 作成日時:2015年7月1日 23時

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