4…篤人side ページ4
どうしようもない、やり場のない気持ちを
俺は誰にぶつければいい??
晴くんはもうこの世にはいない。
Aのせいで死んだわけじゃないのに
俺は素直にそう口にすることができなかった。
真実を聞きたかったはずなのに
いざ知ってみると
心がモヤモヤしてすっきりしない。
「自分が情けねぇ…」
ベットに横になり天井を見上げながら呟く。
晴くんからの小包も中身を取り出すことすら出来ずにいた。
♪〜
iPhoneの着信が鳴り、画面を見ると亮くんからで
「もしもし…」
『あ、やっぱ起きてた』
「どうしたの??」
『話想像以上に重かったろ?だからうっちー絶対眠れてないだろうなって……』
「……うん。」
『晴からの預かり物見た??』
「………まだ……開けてない」
サイドテーブルに置いたままの小包に目をやる。
『うっちーもキツいだろうけど見てやってよ、晴の為にもさ』
「これを見たら何か変わるのかな…」
『まぁ、見てみなよ。俺、今日はこのまま起きてるからさ、いつでも電話して』
それだけ言うと、亮くんから電話が切れた。
小包の中身は何枚かのDVDが入ってた。
【内田篤人様 ―高梨晴―】
その中の1枚を手にとり、セットして再生ボタンを押した。
……
「うっちー!!元気してるか?……えーっと…これをうっちーが見てると言うことは、もう俺はこの世にいないということだよな。」
……そうだよ。
「そして、Aさんや、亮とも会えたってことだよな?」
……穏やかな晴くんの表情はあの頃と何も変わってない。
「うっちー今何歳になってるんだろうな?もう俺の歳越しちゃったかな?」
……もう、俺26歳だし。
「こんな形で俺の死をうっちーに伝えることになって、ごめん。」
……ほんとだよ。ごめんで済むなら警察いらねーし。
「でも、新天地のドイツで頑張り始めたうっちーに病気のことは絶対に知られたくなかったんだ。……でも、俺は……自分が生きた証を形に残したかった。」
……人の心配はすげえするくせに、自分のことで心配されるのは大嫌いだっもんな。
「勝手かもしれないけど………どうしても…………託したかったんだ。………うっちーにしか頼めない。……」
……
……
……
……
ほんと敵わねえな……
まるで全てを見越したかのような、晴くんからのメッセージ………
iPhoneを手に取って、
「………もしもし……?」
「…かかって来ると思った。うっちーに頼みがある………」
………
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作者名:めぐ | 作成日時:2015年7月1日 23時