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「……流石に隠せませんか」
「そりゃあ、あんなもの見せられたらね」
野坂君は試合中に倒れた事を思いだしてなのか、苦笑いを浮べている。結果オーライな所はあるけど、もう少し自分を大切にしてほしいものである。
「俺としてはいち早く診てもらいたい所だけど……」
「僕がやるべきことはもう終わりました。なので治療に専念するつもりです」
「それがいい。……君がもし、
チラッと自分の膝の上で眠る妹を見てそう言うと、野坂君は「バレてましたか」と照れた様子で笑った。
「……貴方には隠したかったんですけどね」
「好きな子の兄だから？」
「いえ、初めて会った時からなんとなく察しが良いような、人をよく見ているような……僕の考えが見透かされている気がするんです」
「まあ、ゲームメイカーは状況を把握しないといけないしね。相手を見てどう動くか予測するのは基本だろ？」
……そのお陰で趣味が人間観察になってしまったっていうのは伏せておこう。
「ま、もし君がこいつとの未来を考えているなら、その病気をどうにかしないとね」
「勿論です」
……そのトラウマを植え付けたのは俺だけど。
「俺としては構わないけど、最終的に決めるのはこいつだ」
「……本当の彼女と話すのが楽しみです」
「回復したら君の元に行くように言っておくよ」
口では生意気言うようになっちゃったけど、根本的な所は変わっていない。きっと俺が言わなくても向かうだろう。
俺が予想するリストはね、まずは現在強化委員である雷門の子達でしょ？
んで、永世学園ことお日さま園のメンバー。まあ彼奴らは直撃してきそうな気がするけど。
……俺としてはこの2人にはきちんとお礼を言わせたい。
まずは目の前にいる野坂君ともう1人……現雷門イレブンの1人である彼。
きっとこの2人にはとてもお世話になっただろうし、迷惑も掛けてるだろうから。
「！ 来た」
見覚えのある車が見え、手を振る。
こちらに気づいたのか、運転手がクラクションを鳴らした。
「じゃあこれでしばらくはお別れだね」
「はい」
Aを抱えて野坂君に一度向き合った後、俺は車の元へと向かった。
先程の野坂君の表情はどこか悲しそうに見えた。きっとAが無事なのか気になるんだろう。
……愛されてたんだね、A。
「やっぱり俺の妹はモテるなぁ」
それも男女関係なく、ね。
そんな事を思いながら停車してある車の元へと歩みを進めた。
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�爾愨海�
続編公開しました。
よろしくお願いします！
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作者名：恵野 | 作成日時：2022年8月11日 13時
