光輝く破壊天使 Ⅶ (ページ42)

今日:3 hit、昨日:6 hit、合計:22,674 hit

331 ページ42

・

長い車に乗せられしばらく経った後、着いた場所は大きなビル。男性に着いて行き案内された場所は……周りに機械が設置された椅子が置かれた妙な部屋。

『車内でも説明したが……これがアレスシステム。私はアレスの天秤と呼んでいる』

『アレスの、天秤……』

『このプログラムがあれば、高レベルの能力を持った人間を輩出することができ、世界を変えることも可能なのだ！』

散々車の中で聞かされた内容。
その内容は僕にとって嫌いなこと……言ってしまえば”ドーピング”に当たるのではと思っていた。

『君の事は簡単にだが調べさせて貰った。……少年サッカーでは顔が利く方らしいじゃないか』

『！』

『君という選手がアレスシステムを使っているという事実は大きな宣伝になるのだよ。わかるかね？』

『……確かに、そうかもしれません。けど！これはドーピング行為に当たります！サッカーだけじゃない、他のスポーツもそうだ……偽りの実力で僕はサッカーをやりたくない！！』

これだけは譲れない。譲りたくない。
僕の力そのままを使えば良いじゃないか。アレスシステムを受けたという偽の情報を流してしまえばそれでいいじゃないか。

『救いたいのだろう？』

『！』

『私の命令に背いたら……独りになるかもしれないぞ？』

『っ！！』

『私は別にお前がどうなろうと構わないんだぞ？こちらに何の影響もないんだからな』

そうだ。僕は頼み込んだ身……この人の命令には逆らえない。
僕の力では……いや、まだ子供であるから解決することができない。他に頼る人なんて思い着かない。

だから僕にはこの人しか頼れる人がいないんだ。……言う事を聞いて当然な人なんだ。

『……分かり、ました。お願いします』

『……よく言った』

椅子に座らされ、目元に何か着けられて見えなくなる。その後、腕、足……と、身体に何かが着けられている感覚がする。
これから何をされるのか。説明を聞いてたとしても、想像ができなかった。

……そう思っていた瞬間だった。

『＿＿＿え、？』

急激に頭に入ってきた情報に頭が真っ白になる。
なに、これ……頭が上手く回らない……なにもかんがえられない。

『A悠を救いたいなら、私に忠実である駒であれ。AA』

男性……御堂院宗忠がそう言ったのを最後に、僕の視界は真っ暗になった。
……その後、目を覚ました僕は、自身の名前と、やるべき事以外の事が何も分からなくなっていたんだ。

・